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小売業に押し寄せる新たな CRM
田中 康寛(たなか やすひろ)
流通ソリューション事業部
Teradata のビジネスソリューション - 小売業における CRM
小売業における変化
最近の小売業界における CRM( Customer Relationship Management )は、発行されているカードに関する改革が進み、大きく変化しています。その変化の中心となっているのが、グループカードと大手小売業が新たに発行しているカードの2点です。これらのカードに共通しているキーワードは何かと探ってみますと、「より多くのお客様との多岐に渡る関係作り」となるのではないかと考えます。そして、このキーワードに含まれる背景としては、以下のものがあげられます。
- お客様属性の多様化
- お客様購買行動の多様化
- 購買行動と購買背景の把握
- お客様の行動把握対象の拡大
- 時間制約の撤廃
なぜ、このようなキーワードが生まれてきたのかを考えてみます。
常に変化するお客様の行動は、いやおうなしに小売業に更なる改革を求めてきています。そのため小売企業は、「お客様 =生活者」であるということを再度強く認識し、お客様に対し最善の「ライフスタイル × 生活スタイル」を提案していく必要性が高くなってきています。これらのことを踏まえますと、小売業における現状のビジネス課題が浮き彫りになってきます。その課題には、次のようなことがあります。
■お客様属性の多様化
- 性別、年齢などの基本属性ではお客様を図れなくなっています。
- 最新購買日(Recency)、購買頻度(Frequency)、購買金額(Monetary)からなるいわゆる RFM分析に購買商品(Item)を加えた RFMI分析でも図れなくなっています。
■お客様購買行動の多様化
- お客様の購買行動を自社内だけで図れる範囲が一層縮小してきています。
このような状況において、小売業はどのような対策をとっていくべきなのでしょうか?
お客様についての理解を深める
ビジネス課題が浮き彫りになると、お客様をどのように理解していくかを改めて早急に検討することが重要な課題となってきます。基本的な考え方は「お客様の行動から理解をしていくこと」であり、現状と大きく変化してくるわけではありません。ここでは、お客様についての理解をより深めていくために、1. “時間軸”、2. “購買行動の変化”、3. 上記1と2をベースにした“お客様とのコミュニケーション手法”の3つの要素をさらに加えて検討する事を提案していきます。
- 時間軸
・お客様は24時間活動される可能性があります。
( Webやカタログ、案内メールなどの購買行動に結びつく活動は、時間に関係なく行われている場合があります。)
・購買サイクルが変化するお客様もいらっしゃいます。
- 購買行動の変化
・購買行動の変化をタイムリーに把握する必要があります。変化の継続力は短い期間かもしれません。
- お客様とのコミュニケーション
・お客様は多忙です。お客様にとって無駄なことは、記憶・意識されないかもしれません。
・情報は必要な時に取得し活用されます。ただし、必要な時が非常に短い期間かもしれません。
・一方通行の情報では、多くのお客様は満足されません。
・お客様の情報取得方法を基本属性から推測することは困難です。
購買行動の変化を把握
お客様についての理解が深まると、さらに以下のことを検討していく必要があります。
- お客様の購買行動の変化を発見する
弊社では、購買行動に何らかの変化があることを「イベント」として定義づけご案内しています。一方、一定した購買サイクルで購買行動を行っている方もイベントとして把握することを、ここではご案内しています。
- 購買行動の変化の起因を発見。
購買行動の変化を引き起こした要因を発見する必要があります。例えば、お子様の大学入学など、お客様のライフステージに変化があったのではないかということを推察します。
イベントによる購買行動の把握、購買行動の変化の起因を把握した上で、お客様とのコミュニケーションをいかに変化させていくかを検討する必要があります。
購買サイクルの変化を把握
これらのことを検証するために、弊社ソリューション(TCRM :後述参照)を利用し試行した例をあげてみます。まず、お客様の購買サイクルの変化を求めてみたいと考えました。そこで、お客様とのコミュニケーションのとり方(主としてご案内の回数や内容など)を数回変化させた新たなプロモーションを行いました。( 図1 )
この結果、主な購買サイクルに位置する約60%のお客様が、新たなプロモーション(主として、案内の回数や内容など)後も購買サイクル期間内にご購入いただいたことが判明しました。残りの約40%のお客様が、購買行動に何らかの変化があったお客様であることが分かります。
プロモーションの実施により明らかになった事柄をもとに、次の2つのことを検証していきました。
- 購買サイクルに変化のあるお客様、変化のないお客様は、それぞれどのようなセグメンテーションに属する方々でしょうか?
- 購買行動につながる効果的なコミュニケーションのとり方(タイミング、内容、手法)を模索していく必要があるのではないでしょうか?
検証結果は、購買サイクルに変化のないお客様は、概ね優良なお客様というセグメントに属する方々であることが判明しました。コミュニケーションのとり方については、既存のチャネルだけでは大きな変化を求められませんでした。
そこで、効果的なコミュニケーションを行うために、さらに検討を重ね、いくつかのテスト・マーケティングを行いました。そのうちのひとつ、ライトタイム・コミュニケーションを実施した例をご紹介します。ライトタイム・コミュニケーションとは、「適正な時に、適正なコミュニケーション・チャネルで、適正な内容を持って、お客様とコミュニケーションする」ことです。
新たなコミュニケーションを図る
ライト・タイムコミュニケーションで実施したことは、以下の3点です。
- マルチチャネル
ダイレクトメール( DM )の発送と携帯メールを利用したプロモーションを時間軸により連動して実施することで、相乗的な効果を狙いました。
- ターゲット顧客をチャネルと連携
今までは、年代などの基本属性の条件により、コミュニケーション・チャネルを固定化していましたが、新たに他の条件からもチャネルを設定しました。
- プロモーション企画から、コミュニケーション実施までの時間を短縮
必要と判断されたプロモーションを実施するまでの時間が週単位、もしくは数日単位かかっていました。そこで、大幅に期間を短縮しお客様へタイムリーに情報を提供することを行いました。
ライトタイム・コミュニケーションを実施した結果
- お客様がプロモーションに反応し購買したことを示す新たな購買のピークを作り出せました。
- 予想していなかったお客様の層で、反応率が高いことを発見できました。
- 後追いコミュニケーションにより、アフターセールスへの模索ができ始めました。
ライトタイム・コミュニケーションの実施により、お客様とのコミュニケーションをとる上で、新たなコミュニケーション手法の開拓が可能となりました。
お客様と最適な関係を構築
お客様は自分のスタイルにあったものを購入し、自分の生活に取り込んでいきます。そのため、小売企業はお客様についての理解を深め、お客様に最適なライフスタイルと生活スタイルを組み合わせた提案をしていくことが求められています。お客様に最適な提案をするために、小売業が取り組むべきビジネス課題は多岐に渡ると考えます。しかしながら、多くの新たな試行が行われ、多くのビジネス・モデルが構築されることにより、小売業とお客様のより最適な関係が構築されることを願うものです。
ソリューション
弊社は、小売業向けCRMソリューションとして、3つのソリューションを提供しています。(図2)
各ソリューションの特徴について詳細をお知りになりたい場合は、当社テラデータ・ソリューションの営業担当にお気軽にお問い合わせ下さい。
- Teradata CRM ( TCRM )
顧客 / 取引データ分析によるセグメンテーションの多様化を可能とし、顧客行動をトリガーとしたイベント主導型マーケティングの実現に寄与するソリューションで す。特に、分析、セグメンテーション、ターゲット設定、アクションという一連の行動を、適切な時に適切な手段・ステップで可能とするソリューションです。導入 に際しては、モジュール構造のため必要なモジュールから導入(必須モジュール以外)が可能です。また、業種業態越えて対応可能なソリューションであるこ とも特徴の一つです。
- R-FOCUS
顧客および顧客購買データ分析により、ロイヤリティー・マーケティングの実現に寄与するソリューションです。効率的で効果的な販促経費の活用のため、ターゲットを絞り込んだプロモーションとその評価を行うことができます。つまり、顧客との関係を「心からの対応」で構築することをサポートします。ソリューションは、顧客管理、顧客分析、アクションの3つの機能で構成されます。
主な対象業態は、百貨店、専門店です。
- R-FINDER
顧客及び顧客購買データ分析により、ロイヤリティー・マーケティング実現に寄与するソリューションです。優良顧客との関係強化、品揃えの改善(優良顧客が求める品揃え)の実現、最適なプロモーション実施などを支援します。まさに FSPを支援するソリューションです。 ソリューションは、分析、プロモーション設定、顧客関連紹介、メンテナンスの4つの機能で構成されます。主な業種は、チェーンストアです。
Copyright (C) Teradata Magazine - Vol.7 2005