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経営戦略データウェアハウスで実現する経営革新

顧客、収益、リスクの詳細情報で構築する経営戦略データウェアハウス

与信運営によって付加価値が変化

契約時の市場実勢を反映して個々に貸出利率を約定したのでは意思決定のスピードを損なう可能性があります。このため利率あるいはスプレッド一覧という形の金利体系を貸し出し条件に照らし合わせて迅速に利率を決定するガイドライン金利制度が採用されています。
ガイドライン利率に基づく約定利率から、例えば、短期プライム+期間プレミアムを控除した部分である約定時上乗せ幅は契約時点における平均的な信用コスト・経費・付加価値の合計で構成されています。
付加価値の実勢値は信用の変化に伴って信用コストと経費が約定時の想定からどれほど乖離したかで測ることができ、実勢付加価値=約定時上乗せ幅−(実勢信用コスト+実勢経費)となります。
将来の与信費用を勘案した貸し出し収益性は実行後の信用変化に依存していることがわかります。
ガイドライン金利制度は適切な付加価値を確保するためのプライシング基準として近年大いにその精ち化が進展しているところでありますが、長期的な与信収益はガイドライン金利制度にのっとって実行した後の与信運営に大いに左右されています。

実勢付加価値を高める施策

実勢付加価値を高める与信運営は大別すれば次の3つになります。適正利率での約定、信用の改善およびコスト削減です。

  1. ガイドライン金利の遵守
    顧客信用、与信期間に応じたガイドライン金利で約定することで適正な上乗せ幅すなわち適正な付加価値を確保します。またガイドライン未達になっている顧客に対して利率改定あるいは保全の改善を求めて実勢のガイドライン金利体系へのサヤ寄せを図ります。
  2. 信用改善
    顧客の信用改善によって実勢信用コストを引き下げます。これが直ちに財務結果の改善に結びつくのではありませんが、約定時点での期待値から与信費用を削減することで将来の収益を拡大します。もし約定時点の期待与信費用がそのまま実現する与信運営ならば期待付加価値以上の利益は得られません。信用改善による与信費用の削減こそがリスク仲介による利益獲得のダイナミズムえあると言えます。
  3. 実勢経費の削減
    与信審査、信用格付、査定といった管理費用は業務プロセスの合理化だけではなく信用の改善によるモニタリング負担の軽減という形でも費用を削減することができます。また契約書の保管管理や実行・利払い・回収といった事務費用は様々な合理化施策によってその費用を削減することができます。

業績評価

従来の業績評価基準はボリュームと粗利益あるいは経費控除後の純利益でしたが、近年は与信リスクを勘案した信用コスト控除後利益(本稿でいう付加価値)に変わりつつあります。

  1. 付加価値率
    「率」はプライスの課題であり、営業現場の第一の課題は与信先と取引の内容に応じたガイドラインすなわち自行設定の適正利率を確保することにあります。第二の課題は信用改善によって信用コストや経費率を低下させることです。
  2. 付加価値額、粗利益額
    「額」はボリュームの課題であり、第一にガイドライン金利を遵守した与信残高の積み上げ、第二に信用改善による信用コストと経費の削減、第三に不良債権の正常化による利払い復活が目標となります。第一の目標の付加価値総額は信用構成に依存しません。従って第二の目標の付加価値額を生み出すには約定時点で相応の信用リスクを取って粗利益を確保する目標を設けておかなければなりません。この意味では利益に関わる業績評価は付加価値に一本化するのではなく粗利益を併用することが必要です。
  3. 営業経費の扱い
    営業経費を付加価値から控除すると新規取引開拓や信用改善に注力した営業が担当している取引先の収益性が非常に悪く出ます。前向きな活動であるにも関わらず付加価値が減少して業績も芳しくないと評価するのでは組織全体のモラルを低下させてしまいます。このような弊害の発生は回避しなければなりません。営業費用の総額を営業戦略で配分しているのが実態であり、商品、顧客、組織のそれぞれのレベルで戦略的に投入した費用とその結果から生み出される収益とを対比して費用の掛け方が適切であったかを評価するプロセスを確立しなければなりません。

信用改善が与信運営に及ぼす効果の反映

適正自己資本比率の下での信用改善はリスクアセットの削減によってリスクアセット保有枠に余裕を生じさせます。更に与信費用の削減がもたらす繰越利益の増大をテコとして与信残高を増やすこともでき、2重の意味で利益拡大効果を持っています。ただし、この効果を実現するには信用リスクの変化をデフォルト率・リスクアセットの変化に転換するリスク管理態勢の整備が必須です。具体的には06年実施予定の新BIS自己資本規制での信用リスク計量方法の一つである内部格付手法によってリスクアセット計算をする態勢を整えなければなりません。

Teradata Value Family と「経営戦略DWH」の新たな展開

このような与信運営体制を円滑に運用するためには、個別要件に限定されず多角的な視野で現状把握・将来分析ができる「経営戦略 DWH」の基盤整備が必須です。
当社 Teradata Value Family は資金粗利益、役務収益、経費、信用コストのそれぞれを取引口座単位に算出します。この最小単位の収益計算結果データと顧客情報、および世界最速の DWH 基盤である Teradata DBMS の高パフォーマンス性を融合することで様々な非定型検索や経営管理の要請に柔軟に対応する「経営戦略 DWH」を構築します。
固定的な顧客、商品、組織を前提に財務的な視点のみを提示してきた従来型の経営管理システムが、リスクテイク戦略に沿ってプロアクティブにビジネスモデルの創出を支援する「経営創造システム」に発展することは不可避です。「経営戦略 DWH」で業務プロセス、顧客戦略、顧客リレーション、人的スキルといった定性情報を含めた事実情報を扱えることがポイントです。自行の利益を生む価値の連鎖構造を視覚化することで短期的、中期的にそれぞれ的確な経営判断がどこにあるかを示唆することができるものとなります。

この記事は、『Financial Information Technology』 (2004年夏版)に掲載されたものです。

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