ホーム > ライブラリー > Teradata サクセスストーリー > St.George Bank 「データウェアハウスでバンキング業務も円滑に」

2003年に APRA の要求事項に対応できるレポーティング・アプリケーションを実装し、バーゼルII 対応プログラムを開発したとき、GDW がコンプライアンス活動の基盤となりました。St.George Bank は GDW を使用して必要な APRA報告書を作成し、信用リスクデータの収集と分析を行い、リスクに対応できる十分な資本を確保していることを証明しました。
2004年と 2005年には全社的リスク管理プログラムを強化しました。現在、同行は債務不履行や貸出リスクなど、さまざまな変数を使用したリスクを分析できます。信 用リスク管理プログラムでは SAS のアプリケーションを使用して、グループ全体のローン商品のリスクを把握しています。
GDW のデータを総勘定元帳と統合することで、同行はデータウェアハウスを法令遵守とリスク管理に活用することができるようになりました。
すべてのデータの論理ビューが GDW に作成され、再利用できるように計算結果や抽出されたデータが格納されています。バーゼルII への対応を成功させるには、質の高いデータが不可欠です。事実、最近のバーゼルIIへの対応活動が、データの不完全性や不正確なサブジェクト・エリアを特 定するのに役立っています。GDW を使うことでバーゼルII に必要なデータに関する問題を把握し、事業のビジョンをより完全で正確なものにできるようになっています。
この戦略はやがて同行に利益と成功をもたらすでしょう。「バーゼルII によりリスクのモデル化が精緻になり、リスク要因が下がるほど当行への評価が高まり、準備しておかなければならい資本金が少なくて済むようになります」と 主要プロジェクトの GDWチームリーダーである Paul Munns氏は述べています。
同行では、GDW で資産と負債の管理も行っています。資金移転価格設定担当の Andy Biesaga氏は次のように言っています。「私たちは銀行に利益をもたらすことだけでなく、損害を与えてしまうこともあります。このため、資産と負債に 関する決定は正確な情報に基づいて行う必要があります。現状を把握し、何をすべきかを明確に示すには、正確で最新のデータが不可欠です。情報を使いこなし てこそ利益を伸ばすことができます」
St.George Bank は顧客の数と収益性の向上に努力する一方で、コストの最適化に取り組んできました。GDW はこの方面でも活用されています。GDW を積極的に利用している顧客情報担当チームは、EDW による分析結果に基づいて多数のマーケティング・キャンペーンを実施しています。例えば、営業担当者は信用スコアリング・モデルを使用して、どの顧客にい くらの限度額でクレジットカード加入の勧誘をすればよいかを判断しています。分析担当者はこのデータを使用して勧誘への応答率を高めており、従来は 1% 〜 2% であったものを 5%〜6% に引き上げることに成功しました。キャンペーンが対象を絞って行われるため成果に結びつきやすく、キャンペーン費用の削減と成功率の上昇につながりまし た。
さらに、同行の分析担当者は GDW のデータを徹底的に使い込んで緻密な分析を行っています。例えば、あるチームはクレジットカード加入勧誘の回数は何回が最も効果的かを調査中だとします。 顧客とのコンタクト回数からどの時点で顧客が加入したか、顧客はどんな頻度でカードを使っているかを追跡し、どういう顧客が最も利益が大きくリスクが少な いかを知ろうとしています。
St.George Bank は、優れた顧客サービスの提供をビジネス目標に掲げています。日々変化するビジネス環境で常に最高のサービスを提供するには、顧客情報を新しい見方で捉え るデータウェアハウス・アプリケーションの開発、改良、実装が重要です。現在、同行は各種の顧客ナレッジ・アプリケーションで、一層細かな顧客情報を提供 し、マーケティング・キャンペーン、意思決定支援、サービス実施をサポートしています。主なものとして、次のようなアプリケーションがあります:
顧客対応の担当者が一層効果的なサービスを提供するのに役立つ
統計およびデータマイニング手法を利用して予測モデルを構築し、予測される顧客の行動を把握する
各顧客およびその口座の銀行収益に対する貢献度を計算する
6つのソースシステムから顧客の行動に関する情報を毎月収集する
−C.A.D
Business Objects のレポーティング・ツールを使用して特定のユーザーグループに向けた視点(データビュー)を提示することで、顧客担当者は必要な情報を簡単に手に入れ、迅速で正確な意思決定を下すことができます。「ジョイン索引、パーティション基本索引などの Teradata の機能を使うことで、レポート作成所要時間が 5分から 30秒に短縮されました」(Plueckhahn氏)
GDW は従来の方法の検証や新しい方法の妥当性の裏付けにも有効です。例えば、同行は優良顧客向けにコールセンターのクイック応答サービスを計画していました。しかし、顧客ナレッジ担当の Kirsten Bryden氏が GDW を利用して調査した結果、優良顧客はコールセンターをめったに利用しておらず、クイック応答サービスを開始してもメリットは見込めないことが分かりました。「問題や疑問をそのままにせず、事実を調査して、その理由や根拠を発見できるのは素晴らしいことです」(Bryden氏)
当行が成功したのは、実行力のある優秀な行員たちがデータを利用しているからです。データを使いこなし、ビジョンを持ち、 それを実行に移すという企業文化が必要です − St.George Bank, Gary Carter 氏
St.George Bank は、GDW とその利用方法をこれからも改良していくことを計画しています。予測される新しい報告およびリスク管理要件を見据えて GDW にバーゼルII 対応データのビューを構築しました。このビューにより、ユーザーは Business Objects のツールで必要な報告書を作成できます。このデータは、ほかの規制要件の対応にも使われており、バンキング業務の新トレンドの把握にも役立っています。
同行はバーゼルII 対応での経験を積み重ね、単なる法令遵守からリスク軽減へと使用目的を拡大しました。予測モデルを作成し、ローン回収不能を予測することで信用リスクの軽 減を図っています。そして、このデータを使って現状に合った正確なモデルになるようさらに精度を上げることで、国際財務報告基準(IFRS)への対応にも 利用できます。
同行では、これからも顧客関係管理(Customer Relationship Management : CRM)機能を増やして重要な情報を提供し、直接顧客と接する担当者の意思決定を支援していく計画です。分析結果に基づいてどのようなビジネス機会がある かを把握し、新しい顧客トレンドを発掘していきます。さらなるデータ収集ができるように CRM システムも更新していきます。
データウェアハウスへのユーザーの反応は上々でしたが、データウェアハウスの使い方を理解する行員がもっと増えれば爆発的に成長すると GDW チームは見ています。Carter氏は、全行員への浸透を強力に推進し、データウェアハウス・チームが積極的に支援することで、データウェアハウスが適切 に利用されるよう働きかけています。
データウェアハウスの利用により、多くのことが実現し大きな価値をもたらしていますが、同行ではこれに満足せずさらに改良を続ける予定です。そのため現 在、企業情報管理ツールや GDW でのデータの抽出、変換、ロード(Extract, Transform, Load : ETL)機能、データの質、可用性、アクセス性の評価を行っています。また、GDW は今後も業務の基幹を担っていくことから、現在の障害復旧システムをアクティブ化したデュアル・アクティブ・システムの実装に向けて検討を行っています。 これにより、ますます厳しくなる一方のサービスレベルの要求に対応していくことができるでしょう。
ビジネスの成功のカギは技術にあります。「技術を活用できる分野を探し出し、その特長・機能をすべて EDW の運用に活用していきたいと考えています。DBA や開発者だけでなく、ユーザーや分析者も 1日の終わりにはこのシステムがあって良かったと思うでしょう」と Plueckhahn氏は述べています。
Copyright (C) Teradata Magazine - Vol.13 2007