ホーム > ライブラリー > Teradata サクセスストーリー > CSS Versicherung 「顧客ロイヤリティの重要性」
CSS Versicherungは、画一的なサービスに陥りがちな健康保険業界において顧客一人一人に合わせたサービスを重視し、1世紀もの長い間にわたり成長を続けています。同社のスイス国内の顧客数は120万名に達し、2,000名の社員が毎年約800万件の保険金請求を処理しています。
企業の成長は歓迎すべきことですが、同時に痛みも伴います。約10年前 CSS Versicherung は、数百社の代理店を一括管理することにしました。これは賢明な方策でしたが、大量の顧客、保険金請求および保険料請求データにより、ITシステムがパンク状態になりました。そのような膨大な量のデータを収集し処理しなければならなかったため、きめ細かい家族重視のサービスを提供する保険会社という名声が失われる危機に直面しました。
しかし、同社はこの名声を勝ち得たことにより、スイス最大の健康保険会社になったのです。経営幹部は、特に国内の保険市場での競争が激化していることから、顧客の家族を重視することが非常に重要であることを理解していました。創業2世紀目を迎え更に飛躍するために、基本に立ち返り顧客を最優先して考えなければならないことが明確になりました。

目標は、顧客が最も効果的な治療法を見つけられるよう支援し、医師や病院と有利な条件を交渉すること。そして迅速に保険金を支給し、顧客のニーズに最適なパッケージ保険を提案し、理解と思いやりのあるサービスで顧客を十分満足させることでした、と保険金請求処理担当ディレクター Reto Dahinden氏は語っています。
既存のデータベース、セールスフォース・オートメーションシステム、自社開発の保険金請求情報システムに限界があり、この目標を達成するのは容易ではありませんでした。これらのシステムは、もはや基幹データを処理することさえできず、ましてや顧客サービス改善に役立つ方法でデータを分析することなどできませんでした。「データが多過ぎて処理に時間がかかり、もう保険料さえ計算できなくなりました」とキャンペーン管理担当部長のDominik Bardenhofer氏は言っています。
顧客データやビジネスデータを効果的に管理するため、1998年、同社の経営幹部はエンタープライズTeradata Warehouseを導入することを決定しました。このシステムは会社のすべてのデータを保存し、緊急の課題を解決するために役立ちました。それまで保険料の計算に数週間もかかっていましたが、Teradata Warehouse導入後は数時間でできるようになりました。「保険料を計算できなかったり、迅速に計算ができないと、顧客は契約してくれません。保険料を推定して決めなければならない場合もあり、予測が外れると損をしていました」 とBardenhofer氏は話しています。
データウェアハウスのもう1つの重要な利用方法は、医療費請求書を分析し比較することです。これは、全国14,000名の医者が同じ病気に同じコードおよび同じ料金を適用することがほとんどないので、困難な作業です。しかし、「インフルエンザを治療するのにもいくつも異なる方法があり、いろいろな医師からの請求書を比較することにより、どれが最も経済的な治療法か、最も効果がある治療法か分かります。これにより、常にコストを抑えることができます。これが、最終目標です」とDahinden氏は説明しています。またこのシステムにより、社員は400以上の病院と効果的に交渉することが可能になり、顧客は最も経済的で確実な治療を受けられる病院を選べるようになりました。
会社のコアプロセスを管理できるようになると、Bardenhofer氏とそのチームはシステムの他の機能について調査するプロジェクトに取り掛かりました。このシステムを利用しCRMを行えることは分かっていましたが、実際にその色々な可能性に驚き、顧客へのアプローチ方法の見直しを始めました。
最大の改革は効果の少ないマスキャンペーンから効果的なワン・ツー・ワン・マーケティングに切り替えたことです、とDahinden氏は言っています。現在CSS Versicherung は、Teradata Warehouseに保存されている顧客情報を利用して高度なCRM分析およびキャンペーンを実施し、マーケティング活動を改善して大きな効果を挙げています。
経営幹部は、何よりも顧客の家族を重視した保険会社として、会社の地位を更に高めることができるだろうと大いに期待しています。
「出産予定、住み替え、子供の誕生日など家族の出来事に基づいて、マーケティング・キャンペーンを構築できるようになりました。例えば、子供が3歳の誕生日を迎えれば、子供の歯科医保険を購入するきっかけになるかも知れません」と Dahinden氏は言っています。
CRMに関するこれまで最大の成功は、イベンドベースのマーケティングに現われています。顧客中心のマーケティング戦略により、顧客一人一人に合わせてすべてのマーケティング活動を行っています。このシステムは、データウェアハウスに保存されている特定の顧客に関するすべての明細情報(保険金請求情報、処方箋情報、診断情報等)を統合して分析することができます。
「どの顧客にアプローチすべきか分かるようになりました。例えば、顧客が慢性的な疾患や病気を抱えている場合、保存している情報に基づいて薬や処置を変更するようにアドバイスすることができます」とBardenhoferは説明しています。
このように細かいレベルでデータを分析できるので、同社は営業活動を強化することができました。これまで、営業部員は現行顧客を場当たり的に訪問し、契約の変更を説得していました。しかしイベントベースのマーケティングにより、「営業部員は、具体的な根拠に基づいて顧客を訪問しています。顧客にとって必要な商品を売り込むために必要なすべての情報を、営業部員に提供しています」とBardenhofer氏は語っており、新しいシステムが毎年85,000 件もの販売チャンスを見つけ出し、そのうち15%が実際の契約に結び付いていると推定しています。これは、業界平均成約率が0.5%-3%であることを考えると、素晴らしい成果です。
このシステムにより、CSS Versicherungは効果的なクロスセルおよびアップセルキャンペーンが行えるようになりました。「これまで顧客に関する基本的な情報は常に持っていましたが、効果的に利用することができませんでした。今では、この情報(出産間近など)を取り出し、夫婦よりも家族に適した保険を売り込めるようになりました」とBardenhofer氏は言っています。

CSS Versicherungは、このシステムを利用して顕在および潜在需要に基づいた顧客セグメンテーションを開始しました。7問から10問の一連の質問に対する回答を基に、システムは高級志向の顧客と保険料に敏感な顧客を区別することで、より適切なマーケティングメッセージを構築することができるようになります。このやり方は、収集したデータを利用して各顧客を評価する潜在需要ベースのマーケティングとほとんど同じです。この評価に基づいて、顧客に追加商品を提示すべきか否かを決定します。また、顧客が必要としていない、または望んでいない商品を営業部員が販売する無駄を防ぐことにも役立っています。
Bardenhofer氏は、CRM活動から長期的な売上増だけでなく、顧客ロイヤリティの向上においても十分な成果が期待できると考えており、「顧客を訪問して出産予定日や誕生日の話をすると、いつもとても喜んでくれます。保険を契約すると、その後は保険会社から何の連絡もないことが当たり前だからです。これは、顧客ロイヤリティを向上させる素晴らしい方法です」と話しています。
新しいビジネスのやり方を採用する場合、常にそれに対応する努力をしなければなりません。この新しいシステムが生み出した企業環境では、CSS Versicherungの社員はデータをより詳しく分析してきめ細かに交渉しなければなりません。しかし、最も大きな改革は営業部隊に起こりました。営業部員は長年、顧客を場当たり的に訪問することに慣れてしまっており、マネジメントからのサポートもほとんど受けていませんでした。しかし今では、Teradataシステムが生み出す販売チャンス情報に基づき、顧客や見込み客に効果的にアプローチできるようになりました。マネジメントも営業活動について役立つ情報を入手し、担当部門を積極的に管理しサポートできるようになりました。
「このテクノロジーにより、誰が何をしているか日常的に把握することが可能になり、従って営業部員は、クォーターを達成しなければならなくなりました。このようなビジネスのやり方に慣れるには多少の努力が必要です」とDahinden氏は説明しています。しかし、究極的にはこのシステムにより、顧客の明細情報を利用して各販売チャンスを以前よりも確実に受注に結び付けることができます。
経営幹部はこのシステムに大いに満足し、その機能を更に効果的に利用することを計画しています。その目標の1つが、イベントベースのマーケティングキャンペーンを現行顧客から見込み客にまで広げることです。このような効果的なマーケティングキャンペーンを行うために必要なデータを収集することは容易ではありませんが、決して不可能なことではありません。「このシステムを使って我々ができることに、いつも驚いています」とDahinden氏は言っています。
Copyright (C) Teradata Magazine - September 2003