ホーム > ライブラリー > スペシャルインタビュー > 対談:Teradataが実現する企業競争力の向上とは?(栗原 潔 氏 × 吉川 幸彦) (2)

吉川: アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスというメッセージには、業務系と情報系を分けて考えるのではなく、企業として情報をどう扱っていくのかを考えてほしいという思いも込められています。意思決定に関わるすべての人に、より新鮮な情報を提供することで、経営の知力、現場の知力をどちらも高めてもらいたいのです。
栗原氏: 新鮮な情報を全社的に活用できると、意思決定をできる人の範囲も広がりますし、その精度も高まります。Teradataユーザーでそれを実現している事例はありますか。
吉川: 米国の大手航空会社の例があります。航空会社では、飛行機が飛び立ってから着陸するまでの間に意思決定をしなければならない局面があります。たとえば、フライトが遅延した場合に、乗り継ぎ便に十分な空席がないと、どのお客様に席を優先的に提供するのかを判断する必要があります。判断のベースとなるのは、アクティブ=新鮮な情報です。マイレージを多く保有している乗客を優先するのか、もしくはマイレージに関係なく、最近遅延で影響を受けた人を優先するのか、といった意思決定です。参照できるのは全社的な情報ですから、クレームの多い人を優先するという選択肢も出てくるでしょう。
栗原氏: 私も航空会社の事例について話しましょう。ある航空会社では、遅延が発生したときに、営業担当者の端末に影響を受ける優良客のリストが出るのです。それを見た営業担当者は、顧客に電話をかけてこれから乗ろうとしている飛行機は遅れますから、もう少しゆっくり出られても大丈夫ですよとフォローできるわけです。重要な顧客が空港に着いてから遅延で 3時間待ちの表示に出くわしてがっかりされると、次の機会に別の航空会社に変更されてしまうかもしれません。それをうまくデータを使って解決している例です。
吉川: 個別最適では実現できない仕組みですからね。
栗原氏: そのとおりで、マイレージはマイレージのシステム、フライト情報は専用システムと分けて構築する個別最適型のシステムでは絶対に実現できない仕組みです。情報を組み合わせることで初めて可能になるソリューションです。また、データの分析を専任アナリストがするのではないことも重要なポイントです。あくまでも現場の人に対して教えてあげる。取るべきアクションがあったら、システムのほうからアラートとして教えてくれる。この仕組みこそ、アクティブと呼ぶにふさわしいと考えています。
吉川: これまでのビジネス・インテリジェンスでは、過去を振り返ってなにか分析して、次の手を考えようという形でした。今後、アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスによって経営の知力や現場の知力を高めた企業は、今どうなっているのかを把握して、これから先を見据えていくことになります。つまり、過去への視点から未来への視点へと変わっていくことになります。栗原さんに伺いたいのですが、専門家の目からすると、そこに向かうにあたって、どのような課題があると考えていますか。
栗原氏: 技術的な面から見ると、スケーラビリティはいくらあっても足りない状況になると考えています。たとえば無線タグ。無線タグは単にバーコードの代替テクノロジーではありません。倉庫の中で荷物を右から左に動かしただけでもイベントが発生し得るわけですから、システムはそれを適切に処理できなければなりません。おそらく、発生するデータ量は一桁くらい多くなるはずです。過去にバーコードの登場でデータ量が一桁くらい増えたこと以上のインパクトになるでしょう。
吉川: データを新鮮なまま提供する必要がありますから、基幹系とのインタフェースは重要で、全体的な連携をリアルタイムに保ちながら大容量を高速に扱える必要がありますね。スケーラビリティについては、Teradata では当初より重要なファクターと位置づけられ開発されていますし、データウェアハウスは全社のナレッジをリアルタイムに提供する基盤ですから止められないシステムという意識が強くあります。そこで高可用性についてもさまざまな技術によって解決しています。
栗原氏: 業務に使うという観点では、なにかあったら教えてくれるシステムというモデルが大切になってくるでしょう。ユーザーが一所懸命に分析して考えることも必要ですが、限界もあります。ある程度はシステムが分析して先に答えを出してくれたり、取るべきアクションを教えてくれたりするイベントドリブンな考え方が求められるでしょう。
吉川: 私どもがアクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスで打ち出したコンセプトとつながりますね。
栗原氏: データは企業の重要資産であると考える企業文化を育てましょうということに尽きますね。まず経営トップにデータの経営資産としての価値をわかってもらう必要がありますし、データを資産ととらえる発想がなければ、全社最適化は難しくなってしまうのです。そうなれば、困難なプロジェクトも前に向かって進めるはずです。全社的なデータ統合は投資効果を測定しにくい分野ですが、その価値は極めて高い。ライバルより先にプロジェクトを始めることで、差をつけていただきたいですね。
株式会社テックバイザージェイピー
代表・弁理士
栗原 潔 氏

日本IBM、ガートナージャパンを経て 2005年 6月より現職。
エンタープライズシステムを中心とする IT および知財の動向分析、コンサルティング活動に従事。
東京大学工学部卒業
米 MIT計算機科学科修士課程修了
日本テラデータ株式会社
代表取締役社長
吉川 幸彦

1976年 日本NCR 入社。
米国NCR 本社Pacific Group CI/MEG Japan Marketing 担当マネジャー、コンピュータ製品企画開発部長、テラデータ事業本部 営業推進統括部長、テラデータ事業本部 産業/通信ソリューション事業部長を歴任後現職。
慶應義塾大学工学部電気工学科卒業
Copyright (C) Teradata Magazine 日本版 Teradata Universe 特別号 - 2007年3月