ホーム > ライブラリー > スペシャルインタビュー > 対談:Teradataが実現する企業競争力の向上とは?(栗原 潔 氏 × 吉川 幸彦)(1)

対談

企業の“知力”を高め、ビジネスの可能性を大きく広げる

株式会社テックバイザージェイピー 代表・弁理士 栗原 潔 氏
日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 吉川 幸彦

左:吉川 幸彦 右:栗原 潔 氏

2007年3月、テラデータは“アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンス”というメッセージを年次コンファレンスTeradata Universe Tokyo 2007 で発表した。エンタープライズ・データウェアハウスが企業のビジネスに大きなインパクトを与えられると市場に訴え続けてきたテラデータは、今回の新しいメッセージで何を伝えようとしているのだろうか。株式会社テックバイザージェイピー 代表・弁理士 栗原 潔氏と日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 吉川 幸彦の対談から、データウェアハウスがもたらす新たな利用形態とビジネス展開が浮かび上がってくるだろう。

by 井津元 由比古

エンタープライズ・インテリジェンスを解き放つ

Teradata Universe Tokyo 2007 のテーマ、unleashing ENTERPRISE INTELLIGENCE 〜エンタープライズ・インテリジェンスを解き放て〜 とはどのようなことを意味しているのですか

吉川: これは、企業全体の競争力を高めるために、さまざまな部門に分散しているデータをエンタープライズ・データウェアハウス(EDW)として 1ヶ所に蓄積し、そのデータを企業のトップだけでなく現場の担当者までの、あらゆるスタッフ・部門が意思決定にタイムリーに利用することで、ビジネス活動における企業の知力を上げていきましょう、というメッセージです。

栗原氏: データが企業の重要資産であるというのは昔から言われていて、ちょっと手垢のついた議論になってしまっています。しかし、重要であるということは確かで、実際に私が IT 関連のコンサルティングを行うときなどにお客様とお話をしていても、本当に何が大切かという話になると、データの活用や知識の共有などが出てくるケースは多いですね。特に意思決定支援向けの業務に関しては、なかなか全体最適化ができていないのが現状です。またデータの鮮度の問題も重要課題となっています。ある企業がまさにその瞬間のデータを提示できるのに、ほかの企業は一日前のデータしか提示できないとなれば、これはもう競争力の差としては明らかなわけですから。エンタープライズ・インテリジェンスは、この全体最適化とデータの鮮度向上という 2つの目標を目指したビジョンであると理解しています。

吉川: 私どもは長年、企業の情報資源を一元管理し、意思決定の精度を高めることが重要だというメッセージを、単なるデータウェアハウスではなくエンタープライズ・データウェアハウスとして提唱してきました。これは単にコンセプトだけではなく、それを実現していくための具体的なソリューションとして、論理データモデルや関連するアプリケーション・プログラムを提供し、これらを利用していただくことで、EDW を早期に実現できることを実証してきています。そしてさらに、精度だけではなく、変化をタイムリーに捉えて対処する必要がある、つまり鮮度も要求される業務でも活用していただくために、EDW にリアルタイム性という側面を持たせ、アクティブ・データウェアハウスとしてお客様へ提案活動を開始しています。この考え方をより多くの方々にご理解いただきたいとの思いから、今回新たに、アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスというメッセージを出しました。EDW やアクティブ・データウェアハウスを実現していくさまざまな技術をベースに、新鮮なデータを見えるようにすることで、企業全体の知力を高めることを強力に支援したいと考えています。

栗原氏: エンタープライズ・インテリジェンスという言葉は好きですね。ビジネス・インテリジェンスではなく、全社的なインテリジェンス。伝わりやすいと感じます。いい言葉を見つけましたね。

吉川: ありがとうございます。トップから現場まであらゆる部門のスタッフの知力を向上させられる枠組みとしてアピールしていきます。

データ基盤を整備する

アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスの実現に必要な要素として、データの連携・統合という課題がありますが。

栗原氏: 個別最適化をずっと続けていくと、いつの間にか全体最適化ができるというのは間違いで、全体最適を目指すためには、根本的にアーキテクチャを見直して創造的な破壊をして、新しいデータ基盤を作らなければいけません。そのデータ基盤を整備するために、データの連携・統合は避けて通れません。

吉川: 最近、ERP の導入などを実際に経験されたお客様から、データの連携・統合の重要性を再認識したと聞くことが多くなってきています。実際に取り組み始めているお客様も多いのですが、そう簡単にはいかないのが現状のようです。データを連携・統合させる、という目標はひとつでも、そこに向かう経路はさまざまですし。ただ、多くのお客様がそういったビジョンを持つようになってきたことは確かですね。

栗原氏: ライバルに先にやられてしまって大変だという危機感から動き出しているのかもしれませんね。たとえばライバルが 5年をかけて全社的なデータ基盤を整備したとして、そこに追いつくためには 5年かかるわけですから。手間もコストもかかる取り組みですが、この分野は特に他がやっているからウチもやるかではなく、他がやっていないからこそウチがやりましょうという考えが必要でしょう。

データの連携・統合からEDW の構築、そしてアクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスの実現へと向かっている企業の例はありますか?

吉川: ある小売業者様では、アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスを実現するという指向のもとに、データ統合を図るという先進的な取り組みを行っています。事実、すでに 2000人を超える現場担当者の方々が、全社的な情報を活用できるようになりました。だれもが詳細にドリルダウンして売上分析できるようにしたことで、たとえば品ぞろえを任されたバイヤーさんが販売動向をさまざまな角度から分析し、ターゲットをより絞った商品を発注できるようになるなどの成果が生まれています。つまり、分析データをもとにした意思決定が現場で行われるようになったわけです。そうなると、これまでの情報系システムの概念が変わってきます。現場の一人ひとりが意思決定に使うわけですから、止まることが許されないシステムとして認知されるようになりました。

栗原氏: 米国の小売り大手が運用しているシステムの店舗在庫の変動グラフを見せてもらったことがあるのですが、横軸が日ではなく時間なのに驚いたことがあります。日米で在庫の持ち方などに差がありますから、そのまま適用できるかどうかはわかりませんが、それくらい細かい単位で在庫管理できているわけです。情報を適切に把握するために、こうしたリアルタイム性は今後大きな流れになってくるでしょう。

吉川: アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンスによって私どもが伝えたいメッセージもまさにその部分で、全体最適、使用ユーザーの拡大、およびリアルタイム性の 3つです。もともと Teradata は大容量のデータをハンドリングしていくことを意図して開発されているため、データを統合していくことに強みを持っています。しかし、単にデータ容量を拡大するだけでなく、データの発生やそれに伴うイベントを即座に把握、分析することで生きた情報として現場の方々に使っていただき、全社的なビジネスパフォーマンスを最大化していく。私どもが提供できるテクノロジーは、まさにこの部分に最適だと自負しています。

栗原氏: 注意していただきたいのは、データマートが大きくなったのがデータウェアハウスではないというポイントです。データマートは特定の目的向けですから、DBMS の技術からすると作りやすい。一方、データウェアハウスは基本的に全社統合してさまざまな人が使うわけですから、あらゆるニーズにこたえなければならない。課題としては非常に厳しいわけです。

先ほど説明のあった論理データモデルが、その課題解決に役立つのでしょうか。

吉川: 世界中でこれまでさまざまな企業にサービスを提供させていただいてきた中で蓄積したノウハウを形にしたのが論理データモデルです。企業が保有するデータの相関図を業種ごとに持っています。データマートの統合が必要なときや、あるいは新たにデータウェアハウスを構築するときに参照していただくことで体系的かつ全体を見据えた段階的なデータウェアハウス構築が可能になりますので、その厳しい課題にこたえられると考えています。

栗原氏: データモデルが全くない状態から作り出すのはかなり大変な作業になりますね。論理データモデルは、販売しているのですよね?

吉川: はい。有償で提供するデータモデルで、すでに世界中で多くのお客様に活用いただいています。

栗原氏: 個人的には価値の高いものだと思いますが、日本企業はデータモデルに対してお金を払うという発想を持っているのですか?

吉川: 最近は変わってきていますね。EDW やアクティブ・データウェアハウスとして私どもが打ち出している技術コンセプトが実現可能なことを具体的に見ていただくことで、さらに価値を認めていただけるようになりました。業種・業界別にデータモデルがありますし、モデルそのものも項目追加などによって、日々進化させています。

栗原氏: データウェアハウスにおけるデータモデルは、業種依存性が強いので、自社の業務にそのまま使えるわけではないにしろ、ある程度出来上がっているものがあるということは評価できますね。お客様にとって、ありがたいサービスでしょう。

Copyright (C) Teradata Magazine 日本版 Teradata Universe 特別号 - 2007年3月

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