前回は商品によって異なるバスケット単価の実状と店舗全体に与える影響(貢献度)についてお話ししましたが、今回はそのバスケット単価がプロモーションによりどう変化するのかということについてお話ししたいと思います。
プロモーションによりバスケット単価は低下する??
一般的に折込チラシによるプロモーションはその掲載商品や企画によって顧客の来店を促し、客数を稼ぐことで店舗の売上の底上げを狙うのが目的です。では実際に折込チラシプロモーションではバスケット単価はどのように変化するのでしょうか。
図1 はあるプロモーション商品の含まれたバスケットの数をバスケット単価別にカウントしたものです。
この商品は折込チラシのトップに超目玉品として掲載された商品です。定番価格での販売時のバスケット単価は 1500円から 3500円くらいのレンジでなだらかな山を描いて分布していますが、プロモーション価格での販売時には 750円から 1500円くらいの少額バスケットの数が一気に増えていることがわかります。
これら少額バスケットの中身がその目玉品のみ、もしくは、他の目玉品との抱き合わせといった内容であることは想像に難くありません。(実際に大半のバスケットがそうでした。)
このようにプロモーションの目玉となる価格訴求商品は強い来店誘引力はあるものの、一方でバスケット平均単価を引き下げるため、客数の増加に比例した売上・粗利を確保することは難しいのは言うまでもありません。
商品によってはバスケット単価が上昇するものがある??
図2 はプロモーション前後での対象商品のバスケット単価の推移を表したグラフです。(各商品の商品名は簡略化しています。)
ソーセージA、ソーセージB(緑色の線)のバスケット単価はごく標準的な低下を示しています。
一方でトイレットペーパーや洗濯洗剤(赤色の線)といった定常的な生活消耗品は、価格に敏感な消費者行動と相まって一品目的買いされるケースが多く、そのバスケット単価の下落は非常に大きいものとなっています。また重量や容積のある商品も同じような傾向にあるようです。
ここで着目いただきたいのがバスケット単価が向上している商品が数品目あるということです。これらの商品は同じチラシに掲載された商品ですが、他の商品とは異なっていたのは、○○フェアといった企画関連商品であったということです。価格だけでなく生活シーンに合わせた訴求で顧客の併買を誘発したわけです。
バスケット指標の価値
折込チラシによる集客プロモーションそのものは、商圏内における自店のシェアを高める効果的な手法であることに異論はありません。ただ、プロモーションの内容によっては一品目的買いばかりを誘発し利益率を圧迫するものもあれば、関連買いを誘発することで高い利益率を維持できるものもあるということです。
バスケット指標はそれらのプロモーションや対象商品の本当の意味での効果や貢献度を認識する上では欠かせない指標であり、小売業が創造する価値を示す大切な指標となり得ます。
なぜなら、バスケット単価の高さは小売業の提案を顧客が受け入れてくれた証であり、顧客満足を測るバロメータの一つとも言えるからです。
バスケットのデータには小売企業とその顧客が Win-Win の関係を高めるためのヒントが、まだまだ数多く隠されており、今後のさらなる活用の深耕が期待されています。
(テラデータ流通通信第4号 - 2010年11月掲載)


