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団塊の世代が見た小売業システム

岡本 正昭

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

第7回:「問題」と「課題」/議事メモの取り方

今回は、次の 2つのテーマについて話す。
・特にシステムの提案や要件定義の際に大事な"「問題」と「課題」"
・ビジネスマンの基本としての"議事メモの取り方"

「問題」と「課題」

小売業の方々であれ、システムベンダーであれ、実際に次期システムを検討し始める時には先ず 2つの観点で構想を練らねばならない。2つの観点とは、現状の「問題」と今後の「課題」である。その結果が提案書に書かれたり、要件定義書に書かれたりする。例えば今後 3年は使いたい次期システムに対する提案書が現行問題指摘のみに終始するものであったり、問題解決策しか提案されていないものであったりしたらどうであろう。この提案書では今の問題しか解決してくれないので、そのシステムが動き出した途端に陳腐化しかねない。

一般的には検討初期段階で「問題」と「課題」の両方を俎上にのせる必要がある。この時大事なことは、「問題」と「課題」を区別しておくことである。 今あげられたテーマは、「問題」なのか「課題」なのかを区別するということである。なぜならそれによって、解決の緊急性、効果の大きさが変わってくるからである。

1. 「問題」とは:

  • 現在出ている不都合である。今の時点で困っている点である。
  • 表現的にはネガティブなものである。
     例: 在庫値が正しく出ない。
     例: 情報は 2日前のものしか得られない。
     例: システムの経費が掛かりすぎている。
  • 表面に出ているので、関係者は誰でも認識しているものである。

2. 「課題」とは:

  • 今後発生するもので、多くはビジネスの何らかの変化によって生ずると思われるテーマである。
  • 表現的にはポジティブなものである。
     例: 3年後には売上を 50%増にしたいので、その対策が必要。
     例: 顧客のリテンション率を今後高めたい。
  • 表面には出ていないものも多いので、例えば経営者の頭の中にのみあったりする。上の 2つの例もそうかもしれないし、極めつけは、以下のような例である。この場合は、社内といえども事前には公表されない。
     例: 来月 Y社との経営統合を発表するが、そうなるとシステムの統合は最優先課題である。
  • 提案時や要件定義時には、こうなるかもしれない、こうなるはず、と想定ベースで課題を見定める部分も多々ある。システムの稼働予定時期との関係で、課題として含めるかどうかを判断しないといけない。

3. 「問題」「課題」の位置付け:

  • 提案も要件定義も多くの場合「問題」解決が中心になりがちである。
  • しかし実際には「課題」を解決するソリューションを求められている場合がむしろ多い。
  • また、現行の運用の仕組みやシステムに「問題」があっても、次期に予定されている仕組みやシステムにはそれ自体が無くなっている可能性もある。典型的な例は BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)が実行される場合である。問題ある処理自体が無くなってしまうのだから、問題も無くなってしまう。
  • 近視眼的な「問題」解決に走っていないか、常に注意が必要である。

議事メモの取り方

会社の中や取引先(システムベンダーでは客先)訪問では、特に若いうちは議事メモを担当することは多いと思う。その議事メモの意味と、メモの取り方につき書いてみたい。

1. 議事メモの必要性:

I 参加しなかった関係者に議事内容を伝える。
II 参加者全員に共通理解させる。
 ・その場にいたメンバーでも別の理解をして聞いていることは意外に多い。
III 今後、同じ議論を繰り返したり、簡単に別の答えに変わってしまったりすることを防ぐ。
 ・無意識のうちに、以前検討したのと同じ議論をまたしている場合も多い。

2. どうメモするか:

  • 議事メモの書き方には、いくつかのやり方がある。
    (1) その場で、まとめながらメモする。
    (2) その場で、単にだらだらレコーダーのごとくメモする。後でそれを見ながらPC入力する。
    (3) その場はざっとポイントのみメモし、後で思い出しながらじっくりとメモを作成する。
  • 私のお勧めは断然(2)レコーダー的メモである。理由は(1)まとめながらメモは、よほどその内容を良くわかっている人で、かつよほど文章力のある人でないと書けないし、(3)事後メモは、記憶力の良い人でないと後では書けないからである。
    それに対し、(2)レコーダー的メモはその意思があれば誰にでも出来る。ただ、無理に会話を理解しようとするとそこで手が止まってしまって、空白部分が出来てしまう。このレコーダーのようにメモするには強い意志と、割り切り(レコーダーに徹する)が必要である。
  • レコーダー的であることは、当日の話題に参加できなくて、理解の助けにならないのではないかという心配があろうかと思うが、慣れるとレコーダーと頭脳が両立するようになる。

3. 発行する議事メモはサマリー(まとめ)型か明細(克明)型か:

  • その場ではレコーダー的にメモしても、関係者に配布する際にサマリーで送るのか、克明な明細で送るのかが悩むところである。
  • お勧めは明細(克明)型である。理由は発行者/作成者が大事でないと思って端折っていることも、別のメンバーが見れば実はこれが重要である場合が往々にしてあるということである。また、言葉だけでないその場の雰囲気や議論の流れを記録するには明細(克明)型でなくてはならない。そういった意味で、発行された議事メモの中に「Aさんうなずく」「ここで Bさんあくび」などと書かれていたら最高である。 ロボットの会話でなく人間の会話であることを伝えるものが良いメモである。

4. 体裁を整える:

  • 議事メモには本文内容以外にも必ず書くべき項目がある。
    頭には以下の項目。
     【日付】…必ず「年」も書く。
     【タイトル】
     【場所】
     【参加者】…所属部署も。メモ発行者の明示。
     【目的】
    最後には以下の項目。
     【メモ作成者の感想】

5. 参加者のチェックを受ける:

  • どんなに熟練した人の議事メモにも、勘違いや書き落としはある。そのため、正式発行前に、これという参加者にも事前チェックを受ける必要がある。時には他の参加者のメモを取ったノートのコピーをもらっておいて自分のメモノートと照合しながら正式議事メモを完成させると良い。

6. なるべく早く発行する:

  • 当該の打合せの終了後なるべく早期に議事メモを発行したい。もちろんメモの仕上がりの良さと発行までの時間は関係があるので、ただ早ければ良いというのではないが、精度よりスピードといったところである。

7. 打合せ中に PC に同時入力することは要注意:

  • 最近は打合せの最中に PC に打ち込む方もいるが、一般的には賛成できない。なぜなら、キーボードをたたくカタカタ音がどうしても参加者に聞こえてしまって、気になるからである。またブラインドタッチならいいが、キーボードを見ながら入力する場合は、どうしてもその場の雰囲気に溶け込まない。当人の表情が見えないし、周りの人々の微妙な反応ニュアンスを見落としてしまう。
  • いずれにしても、PC の持ち込み同時入力は、せっかくのフェイス・トゥ・フェイスの良さを 100% 活かせなくなってしまう。
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