ホーム > ライブラリー > Teradata Insight > 団塊の世代が見た小売業システム > 「第5回」情報を見る目/お店を見る(2)
4.粗利益率と粗利益額を見るとき
・粗利益額(売上総利益額)でなく、粗利益率を重視する経営(現場経営も含め)は要注意である。一般に企業がコンピュータ化され、集計や%の算出が気軽に出来るようになるとともに何々率が普及しだし、いったん率が情報化されると、今度はあの率もこの率もと、率だらけになってしまった。
ここで、経営は額で見るのか、率で見るのか、が問題になる。例を粗利益にとると、私は「率は低く、額は高く」を経営は目指すべきであると思う。少なくとも粗利益率が毎年どんどん上がるような経営は要チェックである。原価を押さえて、売価も押さえて、粗利益率を出来るだけ下げて、消費者により低価格で提供する努力をし、その結果、売上が伸び、最終的には粗利益額が伸びる、でも粗利益率は下がっている・・という経営をして欲しい。
・もちろん率を追求するべきときもある。売上シェア(%)、リフト値、構成比などは率であらわされるべき指標であり、その向上を目指すべきである。
5.ファッション商品の単品管理は無駄?
・昔から小売業の方からよく言われることに「ファッション商品は、これがよく売れているとわかっても、どうせ品切れになっていて追加できないのだから、単品管理などやっても無駄だ」という話がある。一見正しそうだが、私は賛成しない。これでは努力を避けようとしているだけである。これが売れているが、追加は出来ないとなったら、そのよく売れている単品をもう一度良く見て(同類も含め見る。出来れば実物を並べて見る。)何が今の流行のポイントなのかを再度見直さなくてはならない。そして、流行ポイントの仮説が出来たら代替品を発注するのである。
小売業界を担当するシステムベンダーとしての店舗視察心得を考えてみたい。
小売業の方が他店を視察される際にも参考になると思う。
1.店舗を見るのは仕事
・まず一番重要なことは店舗を見、買物をすることは仕事だということである。システム会社の社員が「ちょっと新店を見に行ってきます」と社内で言ったときに、周りや上司が「またあいつは遊びに行くのか」という目で見るとすれば、そのシステム会社は流通業を相手にすべきではない。その点、私が入社した当時は先輩・上司からもお店を見るようにと強く勧められたものである。堂々と勤務時間中に店舗見学すべきであるし、日曜日も小売店舗のピークを見る意味で、見学を心がけるべきである。
2.なぜそこへ行くのか? 目的設定
・新店だから行くのか、話題になっているから行くのか、何か特徴があるお店だから行くのか・・等々の目的をはっきりさせておくと、事前の調査や現場に行く時に、視点が定まる。例えば新店なら、オープン日に行くのか、最初の日曜に行くのかを考えるべきであろうし、話題のお店なら新聞や雑誌やブログでどう言われているかを調べることになる。特徴あるお店なら、対照比較すべき店舗を設定し、場合によっては両方の店舗を見ないといけないかもしれない。
・システムベンダー会社としてのスタンスが絡むこともある。例えば営業担当者やシステム導入担当SE の場合なら、「この小売業の担当になったから」とか「今度提案するから、その前にもう一度見ておきたい」などである。
・普段から色々な店舗を見ておく。そして担当になったらもっとよく見る・・ということになる。
・好奇心をともなってそのお店に興味を持つと、また目的がはっきりしてくると思う。
3.ホームページを見る
・今時は、事前情報入手の手段としてインターネットは欠かせない。
・その企業は、その店舗は何を消費者にアピールしているかを知り、また IR情報を見て、業績や投資家向けアピールポイントを知っておく。
4.買物をする
・店舗視察だからといって、ただ見て帰ってきてはいけない。極力商品を買ってみる必要がある。買物をするメリットは主に 2点ある。まず買う目で見ると、そのお店の品揃えや陳列の良し悪しがより消費者観点で見えてくる。多分漫然と見てまわるより、厳しい目で見ることになる。もう一つの効果は、勘定場での応対の仕方が実感できて、往々にしてそのお店の運用やシステムの問題点が実感できる。しかも、その実感もまた消費者としての実感なのである。
・レシートや伝票の入手とその内容確認も、結構役立つ。さて家に帰ってこの伝票で家計簿がつけられるか・・という観点。
・店頭で消費者の立場でわからないことは、店員の方に聞くことも大事である。「XX商品はどこにありますか?」「トイレはどこですか?」「このカードは使えますか?」
質問に対する店員の方の反応は千差万別で、それゆえそのお店の考え方や教育のされ方が垣間見られる。
・買物することの意外な効用がもう一つある。それは後刻その小売業の方と話すときに「御社のお店で先日買物をしました」と切り出すと、小売業の方はたとえ経営者でもシステム担当の方でも「有難うございます」と頭を下げてくれる。これは小売業の素晴らしいところで、官公庁ではあり得ないことである。
つまり、客対売り手という立場がその瞬間たちまち逆転する。そしてその買物体験の感想を一生懸命聞いてもらえる。
5.比較してみる
・近くの競合店と比べる。同一企業の他店と比べる。比べることで当該店舗の特徴がより鮮明になる。
6.自分の感想を持つ
・他の人や、新聞記事/雑誌記事がなんと言おうが自分の感想を持つこと。これを繰り返すことで、小売業に対する感性が磨かれてくる。
7.すぐ話す、すぐ使う
・視察結果や感想を周辺の人に話す。当該小売企業の方に話す。資料化する。
・システムベンダーなら当該企業に対して、何か提案できる材料はなかったか・・と振り返ってみる。
・家族に感想を話してみるのも効果的である。歯に衣着せぬ応酬になって感想がより磨かれてくる。