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分類コードの考え方とその実践

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

「第11回」CRMと分類コード

前回までで、分類コード自体の考え方や設計実践についての解説は終了したので、今回と次回では分類コードの周辺課題を取り上げる。まず今回は、CRMと分類コードの関係である。CRM の検討・実践の際に分類コードが登場する場面は主に 2面ある。一つは、CRMでの顧客分析が深化した際に必要となる顧客購買分析に、分類コードが重要な役目を果たすという点である。二つめは、CRMで顧客へのはたらきかけを実施する際に、具体的には何らかの商品や、どこかの売場がキーとなるという点である。

顧客分析の深化…顧客購買分析

分類コードというと、商品情報(MD情報)や営業情報にのみ関係していて、CRM・顧客情報には関係ないと勘違いされるケースもあるが、それは誤解である。その事を説明したい。

図1 にあるように CRM用の分析は、各企業とも当初第一段階は「誰が?」「いくら位?」「何回くらい?」「いつ?」買ってくれたか…といった、顧客のみに着目した分析を熱心に行うことになる。

図1. CRMと分類コードの関連−顧客分析の深化−

例えば、顧客の「デシル分析」や「RFM分析」はその典型である。これはこれで楽しいし、実際ビジネスにも役立つ。しかしその段階が終わると、今度は「何を?」「どのブランドを?」「どの単品を?」「どこで?」買ってくれているかを知りたくなる。顧客購買の分析である。つまり、もっと積極的に小売ビジネスにつながる形で分析したくなってくる。第一段階で満足していた時点では、顧客を単なるお金を使う消費者としてしか見ていなくて、何を買っているのかには興味が無かった。しかし第二段階で初めて、顧客を自分のお店で買ってくれるお客様として捉え、はたらきかけようとする対象として見るようになったわけである。実際、熱心に CRM に取組んだ企業はこの段階に進むわけであるが、第二段階に入ったとたんに壁にぶつかるケースが多い。CRM担当者が従来気にしていなかった分類コードが実は的確なものでなく、正確な顧客分析が出来ないことに気付くことになる。どれだけ素晴らしい機能を持ったカードを発行していても、いくら細かい顧客データ(POSの生データや、顧客の詳細属性データ)を集めていても、分類コードが的確でないと、それらがCRM つまりビジネス成長に役立たないものになる。それどころか、かえって販促費や、システム費用などの経費の無駄遣いになってしまう。

こう考えると、分類コードは商品情報や営業情報にも当然大事であるが、CRM にとってもその生命線を握っているのである。逆にいえば、分類コードをきちんと設計し、きちんと運用すれば、MDだけでなく CRM にも役立ち一石二鳥となる。重要なことは、第二段階では必ずしも顧客関連コードを必要としない、つまりカードを必要としない分析も実行される点である。

余談であるが、今日的には、売場や商品の分類コードはライフスタイルを配慮した方向へもっていかないといけないと思われるが、一般的には、分類コードはそうした設計作業以上に事後運用(コードの登録やメンテナンス)に多くの問題を抱えている。

顧客へのはたらきかけのマスカストマイズ

CRM分析にも使える分類コードが実現した時点で、顧客データはビジネスに役立つものになり、顧客へのはたらきかけを的確に行いやすくなる。図2 を見て欲しい。

図1. CRMと分類コードの関連−顧客へのはたらきかけ−

POS購買明細データ(レシート・データ)と的確な分類コードがあれば、「顧客ライフスタイルの発見」が可能になり、その結果、顧客購買分析(前項)と同時的に顧客へのはたらきかけが個別的に行えるようになる。この個別「的」という部分が大事であり、本当の個別(ワン・ツー・ワン)ではなく、個別のように顧客からは見える…という意味である。マーケティングやマニュファクチャリング(製造)の世界ではこの事を「マスカストマイズ」と呼ぶ。マス(大量)にカストマイズ(顧客ごとの仕様実現)するのである。例えば、最近は自動車を顧客が注文するときは、色やエンジンの選択、オプション装備など色々好きに選べるが、実際の製造工場では、まったく仕様の異なる車が相前後してラインを流れ、標準化されたパーツを取り付けているだけである。多種の標準品を多く組み合わせると、顧客からは個別に作ってくれているように見える。

これと同じように小売業のプロモーションも、実は個々ではなくカテゴリー化したグループ単位のプロモーションを、あたかも個々の顧客別に展開しているように見えるように実施しようということである。

図2 の右下にあるように DM(ダイレクトメール)、電話アプローチ(インバウンドもアウトバウンドも)、個別チラシ、KIOSK端末プロモーション、両面印字レシート・プロモーション等をいかにも個別であるように実施するかが競合上大事なのである。

この際のマスカストマイズのためには、精緻な「顧客ライフスタイル」を発見しておくことが必要である。さかのぼると、的確な分類コードを含んだ大量のレシート・データを十分活用した分析作業が必要だということである。もはや「20歳代前半の女性にはこういう商品のDM を送ろう」というようなラフな分析では、競合には勝てない。

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