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分類コードの考え方とその実践

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

「第10回」手順3:コード名称の設計

前回、各コードの内容を設計する説明をしたので、それを踏まえて今回は決まった内容に名称を付ける際のポイントを取り上げる。主に商品分類(クラス)や単品への名称付けを述べている。

では図1 を見て欲しい。

図1. コード名称設計のポイント

コード名称設計のポイント

(1)正しくその分類内容を示すこと

  • 当然、名称を見て商品がわからないといけない。さらに言うと、購買顧客が 1週間後にそのレシートを見て何を買っていたか思い出せなくてはならない。下の例は、コード内容(分け方)と名称ともに関係した改良例である。
例:   商品内容   コード名称
  × CD、DVD 「CD」
    セル・ビデオテープ 「セル・ビデオ」
    …この対応では、DVD を買っても「CD」とレシートに表示されてしまう。また映画の DVD を買った顧客はレシートプリントが「CD」なのか、「セル・ビデオ」なのか良くわからない。また、「CD」ではCD-R とまぎらわしい。これを多少改良すると以下のものになる。
CD、ミュージックDVD 「音楽ソフト」
    セル・ビデオテープ、映画DVD 「ビデオ・ソフト」
  • 参考に、Amazon.com や Yahoo の商品検索でのカテゴリー分けを見てみると面白い。彼らのビジネスでは早く商品を見つけられるようにすることが重要なので、例えば宇多田ヒカルのミュージックDVDは「音楽ソフト」からでも、それと同列の「DVD」からでも見つけられるようになっている。つまり、一つの商品が複数のカテゴリー下に同時に存在している。一方、この連載での商品のあり方はあくまでも上位から下位に向けて分類される必要がある前提なので、一つの商品は一つのカテゴリーにしか存在しない。MD管理主体で考えるとこうなる。
  • コード名称設計と内容設計の両方がミックスした例として、図2「牛肉の例」を見て欲しい。
図2. コード名称 牛肉の例

 これは小売企業 3社の「牛肉」に関する分類と名称である。同じカテゴリーの商品でもずいぶん違った結果になっている。筆者の判定ではA社は×、B社が○、C社が△となる。
A社は下町中心の庶民的なお店である。お客様が「今日は松阪にしようか山形にしようか…」と考えて来店されるとは思えない。
その点、B社、C社は「今日はビーフシチューにしよう」というお客様の頭の中に一致した分類となっている。では、なぜ B社と C社の評価に差がついたか。実は、C社は「豚肉」の分類にも図2 のとおりの分類名称が付けられているのである。それにもかかわらず、「牛」と書かれていない。その点 B社はちゃんと頭に「牛」であるか「豚」であるかが明記されている。こういった、一見些細な名称決定差が実は大事である。

(2)同じ名称を複数箇所で使わないこと
例:ある小売企業で、3つの別々のコードに同じ名称が付けられていたケースがあった。担当者は自分の部門しか見ないので不便を感じていなかった。しかし、これは人的「ミス」コミュニケーションの原因となるし、情報分析を誤ることにもなる。当然レシートを見る購買顧客にも混乱を与える。

  × 120「コーディネイト」 婦人服
    250「コーディネイト」 紳士服
    310「コーディネイト」 子供服
  120「婦人コーディネイト」 婦人服
    250「紳士コーディネイト」 紳士服
    310「子供コーディネイト」 子供服

このように、情報を従来より広い範囲で使う際には、現状コード名称を見直す必要がある。例えば、全店横串情報、企業グループ情報、データマイニング等々を使ってビジネス判断をする場合である。また、この広い範囲で使う典型は消費者である。

(3)専門家でなくても名称が理解できること

  • ここでもコード内容と同様「新入社員にこれでわかるか?」「お客様にこれでわかるか?」という観点でチェックする必要がある。

(4)現在の/これからの消費者ライフスタイル動向の反映、かつ一時的流行にとらわれない

  • 流行を取り入れるか、取り入れないか、特にファッション性の強い商品群では注意が必要である。
  • 例えばファッションではないが、「電気かみそり」と呼ぶのと「シェーバー」と呼ぶのとではだいぶ感じが変わってくる。「シェーバー」と呼んでしまうとジレットのような電気でないものも含まれるが?と拘っているといつまでも「電気かみそり」を使うことになり、そのうち消費者に通じなくなってしまうかもしれない。ちなみに、現代の辞書では「シェーバー=かみそり。特に電気かみそり」と出ている。
  • また、流行の件ではないが、海外の顧客の多いお店では注意の必要な商品群もある。例えば、「ノート パソコン」は欧米では「ラップトップ コンピューター」なので、売場表示などに配慮が必要である。

(5)同一種類商品の単品名称では同一名称を心掛けること

  • 同一種類の単品群で、甘口/辛口やサイズ違いなどに分かれている場合、その商品名称では当然同一名称を心がけないといけない。ここでのミスは購買顧客の持ち帰るレシート上に明確に現れるので、企業イメージにダメージを与えてしまう。
  • 図3「レシート品名の例」は現実に筆者が商品を購入した際のレシートである。当該企業の方にはまったく申し訳ないが、典型的な例なので、使わせていただく。同じ日に2回買物をしたが、2回とも同じ種類のミスが発見された。
    左側のレシートでは明治乳業の高級アイスクリームAYAに関し、
商品内容   コード名称
  AYAのバニラ 「メイジAYAバニラ」
  AYAの抹茶 「メイジAYAトクセン」
 とプリントされている。本来以下のようであるべきである。
商品内容   コード名称
  AYAのバニラ 「メイジAYAバニラ」
  AYAの抹茶 「メイジAYAマッチャ」
 同様なミスが右側のレシートの雪印さけるチーズにも見られる。
図3. コード名称 レシート品名の例

(6)「その他」は極力避けること

  • 実際にコードに名称を付けていくと、どうしても「その他」とつけたくなる時がある。「その他婦人服」「その他家庭用品」「その他食品」…。これを認めてしまうと、つい店内でも「その他婦人服はですね…」と口走ってしまい、お客様に聞かれてしまうとか、最悪のケースではレシート印字で「ソノタ フジンフク」と出てしまう。お客様からすれば「エー?私が買ったものはその他なんだ」とショックを受けてしまう。確たる名称を割り振るのが難しいときには、解決策として「婦人服S」「家庭用品S」などとしても良い。別に S でなくとも M でも良いし何でも良い。企業内のルールを決めればよい訳である。

*本文中の社名、製品名は各社の商標または登録商標です。

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