ホーム > ライブラリー > Teradata
Insight > 分類コードの考え方とその実践 > 「第8回」手順1:コード体系の設計(その2)
分類コードの考え方とその実践
岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント
「第8回」手順1:コード体系の設計(その2)
今回は、手順 1. コード体系の設計 に関する解説の「その2」である。「その2」では、コード体系設計の具体例として百貨店の場合を取り上げて、設計上のポイントを指摘する。他の業態でなく百貨店をここで取り上げる理由は、筆者の経験では百貨店のコード体系が最も複雑であるからである。他の業態のコードは、大体百貨店のコードの中のどこかに含まれている。今回は細かい話を出来るだけ分かりやすくしたつもりであるが、そのため説明を省略してある部分も多々ある。
では図1 を見て欲しい。
百貨店コード体系例
何度も似たような絵が登場するが、これは連載第5回で出した絵を多少アレンジしたもので、現時点での百貨店の平均的なコード体系である。
もちろん百貨店各社は各様の体系を持ち、各様の用語を使っている。
注意すべきは、図では「ブロック」や「取引コード」は「売場コード」の下に付くが、「クラス」は「売場コード」の下に付くわけではない点である。
売場側での情報活用時に「クラス」は「売場コード」下で使われることが多いが、店長が見るときは「クラス」下に「売場コード」が付いて、スカートの売場別売上を見ても良い。さらには本部のバイヤーは、「クラス」下で「店」別「売場コード」別に見るのがむしろ本来的である。ただ一般的には、売場的見方で「クラス」は「売場コード」下に書かれる。
図1 に登場する各コードに関し、図2 で設計上のポイントを指摘する。
百貨店コード体系設計上のポイント
図2 では、縦に代表的な百貨店分類コードが並んでいる。横には、分類コード毎にその「定義」「固定性」「設計ポイント」を示している。
(1)売場コード(品番)
- 売場コードは百貨店では最重要コードであり、売場の売価還元単位、予算管理となっている場合が多い。つまり
MD管理というより、営業管理の基本を支えている。
- 本来的には売場の単位を示すものであるべきだが、残念ながら、今となっては余計な要素を排除しきれないでいるケースも多い。例えば商品分類的な要素が残っていたりする。
- 現在、売場コードで最もホットな話題は、図2 の設計ポイント枠で述べている点である。つまり、「売場コード」は各店の大小に応じて各店に最適な数を用意すべきなのか(この場合は限りなく各店のSM=セールスマネージャーの人数に等しく対応)、全店共通で横串比較できるように設計すべきなのか、という議論である。各店舗の粒がそろっている企業なら全店共通にしやすいが、本店のみが巨艦であったりするとこの問題が出る。
- なかなか正解は見つけられないが、お勧めは全店標準の「売場コード」体系を決め、各店はそれをチョイスするというものである。これとて、実際には多少の我慢をしながら使うという面は避けられない。
(2)取引コード
- POS導入初期の頃にはなかったが、最近多くの百貨店で採用されるようになったのが「取引コード」である。
- 特徴的なのは、「取引コード」自体には意味はなくて単なる連続番号であり、コンピュータで紐付けられる各項目に意味があるという点だ。
- 「店」−「売場コード」−「取引コード」とたどることで、その商品の「取引先」「ブランド」「原価率」「仕入形態」など仕入条件がわかる。
- このコードのおかげで単品管理をしていなくても、原価率を使って商品の販売時即時的に物販利益(筆者の用語)の把握が可能になった。
- 「取引コード」運用の課題は山ほどある。例えば、売価変更への対応や、在庫管理上で催事終了後の取引先への大量返品処理、棚卸付けたて…等である。さらに厄介なのは、何年か運用しているとコードの空き番がなくなってきて、発番できなくなることである。
- POM(Purchase Order Management)という発注仕入を管理する仕組み/運用/情報と大いにかかわるコードである。
(3)クラス(商品分類)
- 「クラス」の考えは昔からあり、POS の登場により更に活用されるようになった。出発は商品分類であるが、その商品を分類すること自体がまず簡単ではない。バランス良く、かつその時代の消費者感覚を反映した分類をしないといけない。
- 古典的には商品の用途と代替性で判断するものと言われているが、そうすると、大まかでよい商品群が細かく用途で分けられすぎることになってしまう。そこで、最近は最適な大きさにするために、年商予定額が均等になるように配慮する事をお勧めしている。
- 基本的な流れは、ライフスタイル的な見方で商品分類も見る方向である。例えば座布団について言えば、昔は寝具に近いものとされていたが、今は寝具でなくインテリア小物である。また、昔は同じカーテンで区別もなかったが、今は寝室用とリビングルーム用では区別されるべきである。
- よくある失敗は、売場やバイヤーに担当商品の分類を作成してもらうと、ブランドをいっぱい書いてきてしまうケースである。これは商品分類とは別の「ブランド」で把握すべきものである。
- また、頻繁に変更してしまうと、本来の目的である継続比較や横比較(各店比較)が出来なくなってしまうので、3年は固定したいものである。
(4)ブランド/取引先
- 「取引先」は当然として、「ブランド」も全店共通化したい。「ポロ ラルフローレン」があるところでは「ポロ」であったり、「ラルフローレン」であったり、「ポロラルフローレン」であったり、「ポロ・ラルフローレン」であったりして、合計5件もブランド登録されてしまっては本当の全売上がわからなくなり困ってしまう。ブランドも全店標準を統一して決め、そこから選んで使うようにしたい。
- 「取引先」と「ブランド」の関係は1:n、m:1、m:n と 3パターンある。
1 :n=取引先「オンワード」が「23区」「J.PRESS」「自由区」等多くのブランドを抱えている
m:1=一般に PB(プライベートブランド)商品は、多くの取引先から提供されている。
m:n=複数の大手取引先は PB も複数の NB(ナショナルブランド)も提供していて、結局
は数対複数になっている。
(5)属性
- 属性とは一般的にアパレルや服飾雑貨関係で用いられ、色やサイズや素材を指す。
- 属性の場合には、その項目によって課題が違ってくる。
- 「色」の場合は、まず色という非常に感覚的なものをコード化するという苦労がある。同じ一つの商品でも、ある人は「これはベージュ」と言い、ある人は「薄いキャメル」と言い、またある人は「いやこれはイエローと言うべきだ」と主張する。
- 「サイズ」の課題は、商品によって異なるサイズ表示体系があるということである。靴は幅と長さ、ワイシャツは体型と袖丈と首周り、セーターはSML、婦人服は号数…特にワイシャツのように複数のサイズが絡むものは、そのデータ化に苦労する。これも単品管理が出来ていれば単品台帳にだらだら記入しておけばよいが、グループ管理であると、POS入力しないといけないので大変なのである。そのせいか、百貨店においてもワイシャツのサイズ切れは多い。
(6)スタイルNo.
- 「スタイルNo.」は一般的にアパレル商品で使われる言葉で、単品から色・サイズの違いを除いた上位のくくりである。
- これも一般論だが、通常アパレル商品は売場の中で、
「スタイルNo.」別→「色」別→「サイズ」別
と陳列されることを知っておくと、情報出力をする際の順番のヒントになる。
(7)SKU
- 「SKU」はまさに単品コードである。現在ではJANソースマークコードの付く「SKU」も増えてきているが、アパレル等で JANコード化されていない場合はインストアマーク(小売業側で単品コードの管理する)で対処して単品管理することになる。
- 親の「スタイルNo.」とその子の「SKU」の関係を整理して考えておくことは重要で、特に「スタイルNo.」の番号をどうするかは検討事項である。
- 「SKU」の構成要素となる「色」には特に注意が必要である。属性としての色と、単品としてのSKU を区別するための色との使い分けを意識する必要がある。例えば、紺地にシルバーの小さな水玉がちりばめられたネクタイの属性色は「紺」であるが、同じスタイルの紺地にゴールドの水玉のネクタイとSKU として区別する場合は「シルバー」でないといけない。
- きちんとした単品管理をする場合、同一商品複数売場のケースへの対処を事前に考えておかなくてはならない。まったく同じ単三乾電池でも、文具売場は文具の成績に、玩具売場は玩具の成績に、家電売場は家電の成績に計上される必要がある。筆者は5種類ほどの対応案を持っているが、100%満足の案は残念ながら無い。
- 従来は最下位の商品コードと思っていたが、RFID の登場でさらに下位の概念が出てきた。EPC などで附番される単位は、JANコードのさらに下で連続番号的に管理される。
(8)ブロック(SD)
- 「ブロック」は「編集」や「SD」とも言われ、従来は百貨店に特徴的なものであった。POS導入の初期の頃から使われている。
- 「売場コード」で示される売場の中を任意にブロック分けし、それごとに販売員を割り当て目標管理する。このブロック自体は随時変更可能で(売場内レイアウト変更かつ担当分け変更)、それゆえコード化とデータ収集が非常に難しい。POS手入力/値札読み取り/入力シート/コンピュータ紐付け…といくつか考えられるが一長一短である。売場や商品の状況と、POS勘定場のトータルな知識と判断で、最適なものを設計する必要がある。
(9)ゾーン
- 「ゾーン」は図1には書いていないが、どう書いてよいのか分からないからである。無責任なようだが、システム的に見ると実に定義しにくいのが「ゾーン」である。
- 「ゾーン」の意味は「店」の下で、「売場コード」のほぼ上位概念で、店舗戦略を示す括り…といったところである。場合によっては、フロアをまたがっていたりして、例えば3階から上の北寄りはカジュアルゾーンといった類のものである。特に場合によっては一つの「売場コード」も分断しないといけない場合があるので、システム把握が難しいのである。
- 「ゾーン」の発想自体は、店舗という物理的なものを消費者のライフスタイル的観点で大きく括ろうとするときに必要な概念であるので、今後の大規模店舗や大規模SC(ショッピングセンター)に不可欠なものとなってくると思われる。