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分類コードの考え方とその実践

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

「第2回」分類コードにかかわる問題・課題

筆者流の用語使い分けは、「問題」は今現在抱えているもの、顕在化しているものであり、「課題」は今後のビジネス展開において解決しておかないといけないもの、つまり多くは当該企業でまだ実感されていないもの、としている。ということなので、A社にとっての「問題」が、B社にとってはまだ直面していない「課題」となることもある。今回は、多く一般の小売業でこれが「問題」となっているだろう、これが将来の「課題」となろうという想定において両方を論じるが、この両者の境目は小売業の業態による差が多い。

分類コードにかかわる一般的な「問題」

図1. 分類コードにかかわる一般的な今の「問題」
  1. 営業情報の欲しい情報が見られない。
    ・営業情報(ダラーコントロール)が分類コードの設計不備のためうまく出せないというケースは少ないと思うが、設計は良くても使い方がまずくて欲しい情報が見られないということはありうる。典型的な例は、百貨店の品番、チェーンストアのDEPT(デプト)が極端に大小に散らばっていて比較などがやりにくいケース、予算設定がしにくいといったケースである。
  2. マーチャンダイジング上欲しい情報が見られない。
    ・「ブランド」「商品分類(クラス)」などの設計や、使い方がうまくなく、例えばあるブランドが結局店計でいくら売れているかわからないとか、スカートが全店で何枚売れたかわからない・・といったことはよくある。
  3. CRMで商品や売場からみの情報が欲しいがうまく見られない。
    ・CRM(カストマー・リレーションシップ・マネジメント)のスタート当初は、誰が良く買ってくれているかといったRFM的な分析で満足し、同じランクの人には同じアプローチをすることになってしまう。しかし、そのうちに、Aランクの人には「どういった商品」が好まれているかとか、「この売場」でAランクの人は誰かといった分析をし、より細かく具体的なアプローチを顧客にする必要が出てくる。マーケティング担当者は、この時初めて自社の分類コード体系が「どういった商品」「この売場」を的確に示していないことに気づくのである。
    ・マーケティング担当者のみならず経営者や店長も、まさにこういった「顧客と商品/売場との関係」を把握し、自らの仮説/検証スタイルの経営をしたいのである。
  4. 当初のコード体系はしっかり設計できたが、その後の運用が崩れてしまったため、現在欲しい情報が見にくい。
    ・このケースは多い。コード体系を設計する時点では社内の各部署の精鋭を集めて、ベストのコード体系が作られる。ところが何年か使っているうちに、そのコード体系の本来の定義や機能目的が忘れられ、一方で新たなニーズが出てきて、何らかの情報化を必要とするものが発生する。
    そうすると、既存の体系の中で新しいニーズを吸収するために、現場的な生活の知恵が働き、体系はそのままに、コード内容をゆがめて使い始める。
    典型的な例は、「商品分類(クラス)」の中にブランドが登場してしまうケースである。ある商品分類のもとに、Aブランド、Bブランド、Cブランドをどう扱おうか…と考えるのであり、ときには、Bブランドのカットを検討する訳であるから、ブランドが居座っていてはおかしい。当然「ブランド」は「ブランドコード」で扱うべきである。
  5. コード体系上、仕入系と販売系をうまく整理できない。
    ・売場にある商品は、仕入担当側から見る場合と、店の販売側から見る場合とで異なるケースがある。「ブランド」のようにどちらの側から見ても同じものもあるが、一方で、百貨店における乾電池のように、仕入担当側から見るとPanasonic の単三乾電池で一本であるが、販売側から見ると文具カテゴリー、家電カテゴリー、玩具カテゴリーで扱っていて、売上成績もそれぞれに区別して計上しないといけない商品も存在する。また、ヤングアダルト向けのスカートを1人のバイヤーが仕入れても、店内では複数の売場で扱っている。さらに一般に同一グループ内であっても、各店の売場編集は必ずしも同一ではない。
    チェーンストアでも、ペット用食品は1Fの食品フロアと2Fの家庭用品・ペットコーナーの両方に置いているケースがある。
  6. グループ内の各社を横断的に見たいが、それができない。
    ・連結のグループ各社や、単一企業のなかの各種業態店舗を横断的に、串刺しで見たいというニーズは最近多くなっている。各店で扱っている同一の商品をまとめて仕入れることで、原価を引き下げたり、供給を安定させたりするためである。また、各店の品揃えパターンや売場展開をグループとしての意志を持ったものにコントロールするという目的もある。ところが従来の各社各様、各店各様のコード体系やコード運用の結果、とても横串で見られないケースが非常に多い。ましてやM&Aで吸収された企業は全く別の管理であったため、さらに大変である。

分類コードにかかわる一般的な「課題」

図2. 分類コードにかかわる一般的なこれからの「課題」
  1. 顧客のライフスタイルに沿った店作り/品揃えをしたい場合、ライフタイル分類や、それにマッチする各種分類コードを整理・設計すること。
    ・これからの小売業経営における一つのキーワードは「ライフスタイル」である。いわく「ライフスタイル品揃え」「ライフスタイル展開」「顧客のライフスタイル・セグメント化」・・。
    となると、机上で感覚的にライフスタイルを論じ、ターゲットのライフスタイルを設定するだけでなく、数字で、見える形でライフスタイル別の売上傾向や、利益傾向を把握する必要が出てくる。それにより、数値での仮説・検証も可能になる。感覚で終わらせないことが重要である。
  2. カテゴリー・マネジメントを導入したい場合、「カテゴリー」コードを設定すること。
    ・欧米発信のカテゴリー・マネジメントを研究し導入を考える日本の先進小売企業もあろうかと思われるが、そのときにぶつかる課題の一つは、そもそも「カテゴリー」というのはどの程度の大きさに分類されるべきものか?ということである。従来のクラスなのか、ラインなのか・・。これはカテゴリー・マネジャーの担当範囲とも大いに関わるテーマである。つまりカテゴリー・マネジャー1人で1カテゴリーを担当するのが理想ではあるが、はたしてその数は全商品で何カテゴリーになるのか。
  3. コードを管理するコード・オフィスの確立。
    ・筆者の経験した数多くの小売企業での分類コードにおいて、大部分の企業はコードの運用破綻による情報活用阻害に悩んでいる。原因は結局のところ、分類コードを管理する組織の権限が弱いか、またはそういった明確な組織も無いという点が大きい。
    ・これからは、先ず経営者が分類コードの重要性を認識し、担当組織(コード・オフィス)を確立し、コード管理を実際的なものにする必要がある。コード・オフィスの仕事は、分類コードの設計、啓蒙、管理、改訂提案等である。そして、システム的知識と、ビジネス(商売)的知識と先見性を持ち、経営センスも必要なジェネラリストを配置しないといけない。
  4. 各種コードの中から任意のコードを指定して情報出力できる、情報インフラの構築。
    ・これら分類コードの課題を解決してきても、コードを利用して情報活用するには、インフラとなる情報システムが構築されていなくてはならない。従来以上にフレキシブルな情報出力が出来ないと、せっかくの分類コード体系や、せっかくのコード運用が活きてこない。すなわち分類コードの改革と、情報インフラの構築は同時並行的に行われなければならない。ここでいう情報インフラは、コードを含むデータを正確に収集できるシステム(一般に業務系システムと呼ばれる)と、データを長期保存し有効な形に情報加工するシステム(一般に情報系システムと呼ばれる)の2つで構成されている。業務系システムを苦労して改善しても、そこから出たデータの情報化が情報系システムでうまくできないとシステム投資効果は激減してしまう。やはり、よりハイレベルの両システムを同時並行的に構築しないといけない。

今回は分類コードの「問題」「課題」を取り上げたが、次回からはこれらを解決する具体策を取り上げていきたい。ただし、どの企業にも通用する、またいつの時代も通用するような100点満点の解決策はないので、「より良くするには・・」の観点で検討を進める。次回第3回では先ず、分類コードの種類分けを論ずることにする。

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