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購買行動分析による消費者理解

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

「第8回」プロモーション商品分析

今回は利用目的のうち2つ目のプロモーション商品分析を説明する。9種類のパターンのうちでは、2A、2B、2C の3パターンである。以下では典型的な使い方を順に説明する。

関連購買分析(プラス側)

図1「( 2A )パターン プロモーション分析/バスケット分析/顧客IDなし」を見てほしい。

図1. プロモーション商品とのクロスセル分析

ここではプロモーションにかけた「特売パスタ」に注目して、これと一緒に購買された商品を、前回同様リフト値を使って分析している。 関連性の高い順にオリーブオイル、粉チーズ(チルド)、タバスコ ・・と並んでいるが、これらはプロモーション商品ではないプロパー商品であった。従来、エンド陳列はプロモーション商品ばかりであったが、この分析結果を見ると、次回パスタをエンドで特売するときには、そばに、プロパー価格のままオリーブオイルや、粉チーズ、タバスコを陳列すれば、顧客にとって非常に買いやすくなり、かつ、店舗にとっては粗利益の確保につながることになる。 一方で、そのような関連商品を置くスペースを確保するためには、効果の無いプロモーション商品の排除を同時に検討しないといけない。

カニバライゼーション(共食い)

次は、プロモーション商品の売上数が伸びたことのマイナス影響を受けて、売上が落ち込む商品の分析である。特にプロモーション商品と同一カテゴリー内でこのマイナス影響が出ることをカニバライゼーションと呼ぶ。

図2. 牛乳5ブランドにおけるカニバライゼーション

図2 はこの店での 1リットル紙パック牛乳主要 5ブランドの日別売上数をグラフにしたものである。 この例ではたまたまバスケットデータを使っているが、こういった分析は必ずしもバスケットデータでなくとも従来型の分析でも可能である。 結果を見ると、農協青空牛乳をプロモーションにかける都度、農協岩手牛乳の売上が落ちることが見てとれる。楕円で囲った部分である。しかし PBの 3商品は農協青空牛乳のプロモーションによる影響はあまり受けていない。さて、農協青空牛乳のプロモーションを今後も続けるべきであろうか・・。

バスケットを見ることによるプロモーション評価

図3「ブランドのプロモーション評価」はビールのどのブランドをプロモーションすべきか、どのブランドはプロモーションすべきでないかを検討している米国小売業のモデルである。

ブランドA と Bの比較をしている。図の上半分は従来型の単に商品の売上を比較しているもので、これによれば Aブランドのプロモーションのほうが儲かる、という結論になっている。 一方、図の下半分は同じデータでバスケットを基準にして評価した場合で、この見方では、Bブランドのほうが儲かっている、という結論になる。 もちろん正解は下のほうの分析であり、バスケット分析の有効性が明確に示されている。

チェリーピッキング分析

プロモーションにかけられた特売商品ばかり狙って買う消費者のことを「チェリーピッカー」と呼ぶ。またそうした買い方を「チェリーピッキング」と呼ぶ。 さくらんぼのおいしいところだけつまみ食いする・・と言うところから来ているようである。プロモーション対象の商品が本来のプロモーション効果を発揮して全体売上を伸ばし、粗利益確保にもつながっていれば良いが、チェリーピッカーに狙われているだけなら、その商品は今後プロモーションにかけないほうが良い。

図4. チェリ−ピッキング分析

図4「チェリ−ピッキング分析」はプロモーション対象商品の実績をリスト表示したもので、バスケットを分析することで判定を試みている。 たとえば「ソフト食パン」はバスケットにそのソフト食パンしか入っていない割合が 30%もある。かつバスケットの粗利益率も低いし、バスケットの買上点数も低い。これは多分チェリーピッキングにあっていると考えられる。

メニューカードの効果分析

スーパーマーケットや GMS食品フロアの入口付近に、季節の惣菜レシピが印刷されたメニューカードがラックスタンドに数十種類入れられているのは良く見る。 果たして、このメニューカードが売上につながっているのだろうか?

図5. 上位顧客に対するメニューカードの効果検証

図5「上位顧客に対するメニューカードの効果検証」はその検証をしてみた例である。 上位デシルに属する顧客のバスケットを 2ヶ月間追及している。ここでプロモ月は当該のメニューカードが置かれていた月で、前月には置かれていなかったということが前提である。図5はその中で「トマトとあさりのパスタ」カードをとりあげた。 分析はレシピの主食材の内、あさりに注目し、それとパスタの同時購入があった件数を表にあらわした。3店舗の分析結果では確かに購買促進にはなっている。しかし、カードでアピールしたはずの PBスパゲティは結局あまり併買されていない。 色々な反省が考えられるが、たとえば、PBスパゲティ自体に魅力に欠ける点はないか、メニューカード上で PBスパゲティは強調されているか、店内陳列は見やすいか、品切れは無かったか・・。

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