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購買行動分析による消費者理解

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

「第7回」クロスセリング分析

今回は利用目的のうちクロスセリング分析を説明する。前回説明した9種類のパターンのうちでは、1A 、1B 、1C の3パターンである。

( 1A )パターン

図1「( 1A )パターン クロスセリング分析/バスケット分析/顧客IDなし」を見てほしい。

図1. (1A)パターン クロスセリング分析/バスケット/顧客IDなし

ここでは全売上のバスケットを分析している。注目した単品である鶏肉と、他の商品の併買を調べたものを単純化して示している。 関連商品は表の右端の「リフト値」の大きな順に並び替えられている。たとえば鶏肉に対し最もプラスに影響を受けるのはタイ米であり、その効果のほどは通常タイ米の買われる確率の1.68倍買われるようになる・・という結果になっている。 単に鶏肉との併買率(5)で言えば2番目はハーブ風味ライスが 15.14% で2位であるが、ハーブ風味ライスの購買率(6)が中国ナッツより高いため、結果的にはリフト値ではハーブ風味ライスはリフト値では第3位となっている。 このようにリフト値はその関連単品の売上をリフトする(引き上げる)効果を示している。リフト値=1 はまったく鶏肉の影響を受けない場合の値となる。一方、表の最下であるえんどう豆はリフト値=0.51 なので、鶏肉の入ったバスケットには通常の半分の確率でしかえんどう豆が入らない・・ということを示している。リフト値についてまとめると図2「補足:リフト値を使った関連購買分析」の上部ボックスのようになる。

図2. 補足:「リフト値」を使った関連購買分析

また、図2の中央ボックスにあるように、リフト値は関連する双方の商品の間でどちらの商品から見ても同じ値になる。先ほどの例で言えばタイ米を対象単品にしたときの関連単品リスト内に鶏肉はやはりリフト値=1.68 で登場するということである。ただしこの場合鶏肉は必ずしもリフト値1位であるとは限らない。
このリフト値の活用についてはいくつか考えられるが、代表的なものは、陳列改善やその結果検証である。陳列改善にも大きくは2つの考えがある。

1. 通常は、関連性の高い商品を近づけて陳列し、顧客の便利性と売上向上をはかる考えが主である。

2. わざと関連性の強い商品を離して陳列して店内回遊性を高めるという考えもある。

実は関連陳列はデータ活用以前にすでに店内でよく行われていることである。
たとえば生鮮野菜のそばにドレッシングが置いてあったりする。ただそれがどれくらい関連購買での売上向上につながっているのかがわかりにくかったり、また、新たなる関連性の発見が出来なかったりで思い切った店内陳列改革が出来なかったのである。
なおクロスセリング分析は図1の例のように、単品:単品で行うのが通例ではあるが、カテゴリー:カテゴリーカテゴリー:単品でも可能である。

( 1B )パターン

次は、もう一歩顧客に向かって踏み込んだアプローチを情報を使って考えてみたい。たとえば上位顧客にどういう商品を店頭アプローチするか、DMはどういう商品とどういう商品をセットで打とうか、などに使う情報である。

図3「( 1B )パターン クロスセリング分析/バスケット/顧客ID付き」には上位顧客において紳士綿長袖シャツと何が併買されるかを示している。この場合は当然リフト値が1以上を期待している。表では Dockers のカーキパンツが、通常の 6.6倍売れると出ている。これがわかっていれば、もし店頭なら、御得意客が紳士綿長袖シャツを選ばれたら即 Dockersカーキパンツをお勧めすると良いし、上位顧客対象DM発行なら、紳士綿長袖シャツ購買済みでまだ Dockersカーキパンツを買っていない顧客に Dockersカーキパンツを案内すれば高い確率で買っていただける。

( 1C )パターン

今度は、バスケット単体でなく、ある期間通して見た顧客の購買傾向を見てみる。

図4「( 1C )パターン クロスセリング分析/期間購買/顧客ID付き」はある百貨店のワイシャツ売場での 6-7月の中元期2ヶ月間をデータ名寄せ(同一顧客IDのものをくくる)したものを使ってクロスセリング分析したものである。 ワイシャツの下のサブクラスを縦横に並べて、顧客に併買があったら +1する。表の数値は左上から右下にかけて斜めに走る線を軸に対称になっている。 ここでは5段階に色分けしている。

  1. 濃い色 は関連購買の多いもの          (30人以上)
  2. 中間色 は関連購買の中くらいのもの          (20人以上)
  3. 薄い色 は関連購買の少ないもの         (10人以上)
  4. ごく薄い色 は関連購買の非常に少ないもの          (10人未満)
  5. 白抜きは関連購買のなかったもの(0人)

これを見るといくつかの傾向が見て取れるので、私見ではあるが、左側に吹き出しで書き込んである。この売場のマネジャーが見ればもっと色々な発見があるはずである。これらの分析結果をつかって、PB商品開発の見直し、品揃えの見直し、陳列の見直し、接客アプローチの見直しなどを行える。
なお同じデータを使ってこのワイシャツ売場と、隣にあるネクタイ売場との間での併買状況分析も行った。図4に代わって縦にネクタイのサブクラスが入ったものである。この結果も、ネクタイとワイシャツの特定の結びつきや、共通の傾向などがわかり興味深いものである。

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