ホーム > ライブラリー > Teradata Insight > 購買行動分析による消費者理解 >「第5回」PIと購買率の違いと使い分け

購買行動分析による消費者理解

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

「第5回」PIと購買率の違いと使い分け

基礎購買分析と詳細購買分析

購買分析にはいくつもの種類があると思われるが、整理のためまず図1「購買分析の技術的分類」に購買分析の大まかなレベルでの分類を示す。

図1. 購買分析の技術的分類

ここでは基礎購買分析と詳細購買分析に分けているが、厳密な境目があるわけではなく、あくまでも感覚的な分類である。本連載では、このうちの詳細購買分析がメインテーマであり、後の回でもっと詳しく述べる。

まず基礎購買分析は、従来の考え方や従来のシステムでがんばればやれる範囲。詳細購買分析は、従来はやらなかった/できなかった範囲の購買分析である。基礎購買分析はカテゴリー・レベルまでで、かつ関連購買分析はしない。詳細購買分析は細かくは単品レベルまで、かつ関連購買分析までする。

PIと購買率

具体的に基礎購買分析の一つの例として、PI(Purchase Index)と購買率をとりあげ比較してみる。購買率という用語は筆者の勝手に付けた名称である。よく小売業で使われているPIについては、その利用目的の一つとして「PIは顧客のその商品に対する支持率をあらわす」という人がいるが、それは間違いだと思う。それは購買率である。図2にはPIと購買率が比較して説明されている。

図2. 購買率とPI値の違い

まずPIであるが、これは100人のお客様がレジを通過されたら、ある商品(群)が何個売れるか(点数または%)を示している。PIは100人のお客様に何個売れるか(点数または%)を示し、購買率は100人のうち何人のお客様が買うかを示している。この図の下のりんごの例を見るとPIと購買率がぜんぜん違うものであり、また顧客の支持率を示すのは購買率であることがわかる。

次に図3「PIと購買率の使い方の違い」には、両者の使途の違いとなぜ従来PIが顧客支持率として誤用されたかが述べられている。

図3. 購買率とPI値の違い

PIは本来MD用のものであり、購買率はマーケティングやCRM領域に近いもので、まさに購買分析用なのである。例えば、上得意客(デシル1など)においてりんごは購買率が高いなら欠かせない品揃えだという判断になる。

「付録」購買率実際例の考察・・・分類の重要性

ここで本来の流れからは少しそれるが、購買率分析をするにも、こういうことが大事だという例を取り上げる。図4はある小売店舗での食品の購買率である。

図4. 食品売場: 「購買率」による分析

この店舗ではいつも日配品(デイリー食品)の売上がダントツで、大体牛肉、豚肉、鶏肉はドンジリである。ではこの店舗は日配品が強くて、精肉類が弱い店なのか? ・・そうではなくて、問題はカテゴリーの作り方、商品のくくり方なのである。一般的にはここでの日配品は、「洋風デイリー」(ヨーグルト、ゼリー、など)と「和風デイリー」(豆腐、納豆など)に分けられる。また、牛肉、豚肉、鶏肉は3つに分けないで「精肉」として一本で管理される。こうくくり変えると、購買率表はもっとバランスの取れたものにかわってくる。このように、商品の分類の仕方はあらゆる経営面、あらゆる情報分析(MDであろうが、FSP/CRMであろうが)に共通した重要テーマなのである。

ブランド・ロイヤリティ分析

基礎購買分析のもうひとつの例として、ブランド・ロイヤリティ(顧客の、ブランドに対する忠誠心)分析を取り上げる。図5を見てほしい。

図5. ブランド・ロイヤリティ分析

これはある米国小売業がシリアル(コーンフレーク)のブランドを分析したものである。ブランドの独占率は、そのブランドが買われると、他のブランドが同時購買されにくいことを示し、ブランド購入率はそのブランドの購入されやすさを示している。右下のように4象限に分けて考えると、わかりやすいのは右上(双方高い、つまり文句なしに支持されているブランド)と左下(双方低い、つまり支持されていないブランド)である。特に左下に入るブランドはカットの候補となる。では左上(よく買われるが、他のブランドとともに買われる)と右下(あまり買われないが、単独で買われやすい)はどう判断するか? 実はこういったブランドをどう扱うかでお店の特徴が出てくる。 さて、お店にとって強いブランドとはどういうブランドか?・・と定義を考え直して見ると面白いと思う。

次回は詳細購買分析の種類をどう分けるかを説明したい。

ページの先頭に戻る