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購買行動分析による消費者理解

岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント

「第4回」購買ライフスタイルを追求する

連載第2回「購買分析の定義:顧客と商品の絡みを追求」の中で、購買分析の目的として「5. 顧客のライフスタイル行動別購買特性を知る」をあげた。ここで、なぜライフスタイル行動を追求することが大事かを考えたい。

図1. 購買ライフスタイルに注目する意味

図1「購買ライフスタイルに注目する意味」に示したように、小売業は対象とする顧客の購買ライフスタイルに合わせて店舗やオンラインショッピング・サイトを準備すべきである。つまり、どの顧客にも一律に接するのでは無く、できるだけ個別の顧客ニーズに対応すべきである。・・と、ここまでは理想論を述べたが、実際の店舗(リアル店舗)ではそうはいかない。今Aさんが来店されたので、Aさんの好きなアウトドア商品を入り口付近に並べようなどということは、実現不可能である。

対比的に見ると、オンラインショッピング・サイトでは一般的にログインしてきた顧客にパーソナル・リコメンド商品(個人に対応したお勧めの商品)を画面に優先表示している。もっとも、現在のオンラインショップでは時々、まったく勘違いした商品が提示されて思わず笑ってしまうこともある。それでも2品に1品くらいは興味あるものが提示されている気がする。こういったショッピング・サイトでは懸命に関連購買や、顧客ライフスタイルの分析をしているのである。

さてリアル店舗に話を戻すと、個々の来店客に陳列や品揃えを合わせるのが現実的でないのであれば、なおさらあらかじめ良く顧客のライフスタイルを読み込んで準備しないといけないということになる。より多くの顧客に、より貢献度の高い顧客に満足していただける店舗はどうあるべきかと。

この顧客ライフスタイル読み込みに大いに役立つのが購買分析である。また、その結果検証にも購買分析が大いに役立つ。ある新規店舗を考えた時に、周辺にどんな人が住んでいるかがわかったとして、それは基礎情報としては役立っても、結局品揃えや陳列には直接役立たない。それより役に立つのは、ある程度似た店舗での購買分析結果であり、もっと役立つのは、当該店舗の開店後の購買分析である。そしてその情報を使って店舗を調整していく(チューニングしていく)ことが効果的である。

では購買分析の無かった従来、小売業は自店で買ってくれた顧客のライフスタイルをどうやって把握してきたのだろうか?

図2を見て欲しい。

図2. ライフスタイルの把握方法

一番多く行われていたのは、自店でよく売れる商品からこういうライフスタイルの顧客が多い、逆にこういった商品が売れないからこのライフスタイルの顧客が少ないといった「商品」からの類推である。でも商品単体の売れ行きではライフスタイルが想像しにくい。たとえば単三乾電池が売れても何に使うのか想像できないし、大根が売れてもおでんなのか大根おろしなのかわからない。 もう一歩進んだやり方として有名なのは、コンビニエンスストアで行っているPOSに顧客の「顧客属性」(「男女」と「年代」)を入力してデータを採るという方法である。一見すごく良いようであるが、ここから顧客ライフスタイルを考えるのにも多少無理がある。まず、男女からは単純にはライフスタイルが想定できない。女性が炭を買ったからこれは炊飯器やお風呂に入れるグルメ・健康志向だ、男性が炭を買ったらこれはアウトドア志向だ、とは必ずしも言えないということでわかる。逆かもしれない。一方の年代も、読者の方がご自分の同窓/同期の友人を思い浮かべていただけば、みんなが同じライフスタイルだとはとても言えないことが理解できよう。年代は、無いよりはましという程度であろう。

そこで、これからは従来の分析内容である「商品」「顧客属性」に「購買内容」を追加することでより的確に顧客のライフスタイルを知ることが必要となる。単なる大根の買上でなく、大根とこんにゃくがセットで買われているとわかったらおでん、大根と秋刀魚ならこれは大根おろしとなる。このようにバスケットの内容という結果から、それに至った顧客の購買行動(自宅で考え、店舗に来る途中考え、店内で考えた内容と行動)を逆算する。近所の小売店のおやじさんが当たり前にしていたことを、大きな規模になった小売企業にも可能にしたいわけである。

購買ライフスタイルの具体的な追求手法は後の回で詳しく説明する。 次回は小売業でよく使われる「PI」と、バスケットをベースにした「購買率」の違いを説明したい。

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