ホーム > ライブラリー > Teradata Insight > 購買行動分析による消費者理解 > 「第2回」購買分析の定義:顧客と商品の絡みを追求
岡本 正昭 (おかもと まさあき)
流通ソリューション事業部
エグゼクティブ・コンサルタント
日本において小売店舗がPOSを使い初めて約30年が過ぎて、POSとは何か?を考える事も少なくなってきた。特にPOSデータを使った情報活用は一見普及し尽くしたかに見える。仕入データや顧客属性データも関係付けて、商品情報(又はMD情報)やFSP(カードをベースにした顧客分析)情報は多くの国内小売業で使われている。最近はさらに会計情報や人事情報といった商品や顧客以外の企業情報をデータウェアハウスから入手して、企業全体の情報活用に発展させるケースも出てきている。
そこまで来た国内小売業のデータ活用と最近の欧米小売業におけるデータ活用を比較して見るとそこに大きな違いが発見できる。欧米では盛んに行われ始めているPOSデータに基づく購買行動分析(購買分析)が日本ではほとんど行われていないという点である。購買分析は、すでに欧米では「紙おむつとビール」のような新奇な分析といったレベルではなく、地道で本質的な情報活用として利用されている。
購買分析の相対的な位置付けを図1「我国のPOSデータ分析現状」に示す。

この図には 1. 顧客情報、2. 顧客の商品情報、3. 購買分析、4. 商品情報 と書かれている。この中の「3.購買分析」に彼我(欧米と日本)の差が大きく存在する。商品だけを見たり(4)、顧客だけを見たり(1)では判断を誤る時があり、さらに言えば誰がどの商品を買っているという事(2)を知ってもまだだめだということである。もちろんこういった情報(1、2、4)も大いに有用である場面もあるが、どういう人がどのように買っているか(3)を知ることはそれ以上に顧客理解のためには重要である。図1に3が無い現状を「店舗にとっての肝腎なところがわかっていない」と書いたのは必ずしも大げさではない。最近小売業の方から「やはり、顧客と商品の絡んだ分析をしないといけないが、今それが出来ていない」という声を聞くが、まさにそれである。顧客の購買行動から結果発生する大量の細かいデータから、従来以上に真摯に顧客の購買行動を理解しようとする努力が必要な時代になったということである。
次に図2「購買分析とは」に購買分析の定義と目的を示す。
定義 1は従来から言われるバスケット分析である。1回の買物(必ずしもバスケットを使っている必要はない)のレシート単位に分析することである。 定義 2は長期にわたって何を買っているかを見る分析である。ロングバスケットとでも言うべきものである。当然定義 2 のためには同一顧客の買物をひも付けるために顧客番号(またはカード番号)がデータに含まれている必要がある。1回の来店で何回か精算する可能性の高い、百貨店やGMSにおいてはこの分析が不可欠であるし、ライフサイクルの長い商品を扱う専門店でも必要な考え方である。
これらは店舗の関係者はもちろん、本部サイドの店舗サポート担当、バイヤー、ディストリビュータ、店舗開発担当にとっても購買分析が役立つことを示している。クロス・セリングに補足をすると、インストア・マーケティングを考えるときに、店舗において売上を増やす工夫は大きく分けて2つ、アップ・セリングとクロス・セリングがあり、前者は同じような商品をより高品質/高額なものを買っていただく努力や、同じものをより数多く買っていただく努力であり、後者は何かに関連した商品に気付き追加買いしていただく努力のことである。両者とも店舗からの押しつけでなく、お客様が自然に気付かれそうすることで感謝されるようなお店になるという点が肝要である。
次回はいよいよ、「商品でなくバスケットで見る重要性」を取り上げたい。