ホーム > ライブラリー > Teradata コラム > Insider's Warehouse 「アクティブ・データウェアハウスに至る5段階の進化」(2)
いよいよアクティブ・データウェアハウジングの領域(何が起きているのだろうか)へと入ってきます。
これまでの段階では、企業の戦略的意思決定に主眼を置いたのに対して、第4段階は戦術的意思決定支援にフォーカスします。
戦略的意思決定支援は、マーケット・セグメンテーション、プロダクト(カテゴリー)マネジメント戦略、収益分析、予測などの領域で企業の長期的な意思決定に必要な情報を提供します。一方、戦術的意思決定支援は、現場で戦略を実施する人々が即時に意思決定ができるような情報へのアクセスを提供することを重視します。
例えば、ジャスト・イン・タイム補充方式の在庫管理と貨物配送のスケジューリングとルート決定があります。小売店の多くは、仕入先に在庫管理を依頼する方向に動き、小売チェーンと納品する生産者はパートナーとして協業しています。
その目的は、より効率的なサプライ・チェーン・マネジメントにより、在庫費用を削減するためです。パートナーシップが成功するためには、仕入先は販売量、プロモーション、手持ち在庫量などに関する情報に詳細レベルでアクセスできる必要があります。そうすることで、店別、SKU 別の必要在庫量に基づいて、生産、納品などを効率的に行うことができます。この仕組みの利用価値を高めるためには、情報の鮮度と迅速なクエリーレスポンスが必須となります。
混載トラックによる貨物配送の例では、トラックの配送スケジュールと配送ルートに関して非常に難しい決定を下さなければなりません。通常、トラックは集積所に集まり、そこで貨物は所定の目的地に向けて配送を行う別のトラックへ移されます。到着が遅れるトラックに貨物が積まれている場合、当該貨物の配送を引き継ぐトラックは、遅れているトラックが到着するまで待つべきか、予定どおり出発すべきかの判断は、難しい選択です。貨物を待たずに出発すれば、延着した貨物のサービスレベルは犠牲になり、一方、延着貨物が到着するまで待つと出発準備が整っている他の貨物のサービスレベルを損なうことになります。
貨物の到着をどのくらいの時間待つべきかは、遅延している全貨物のサービスレベルと、すでに引継ぎトラックに積載されている貨物のサービスレベルによって異なります。翌日配送の貨物が遅延した場合は、何日も先の配送貨物が遅延した場合よりもサービスレベルを維持し続けることが難しくなるのは明らかです。加えて、当該貨物の受け手と送り手の関係も考慮しなければなりません。サービスレベルの達成は、収益が高く、延着すると顧客との関係が危うくなる貨物に優先度を高くするべきです。
延着貨物の代替ルート、天候条件、その他のさまざまな要素も関係してきますが、最適な決定をすることは、きわめて複雑な最適化の問題となります。
配送仕分け担当の責任者は、高度な意思決定支援機能の助けがあれば、スケジューリングやルート決定の質を格段に向上することができるのは明らかです。しかし、このような機能が効を奏するには、意思決定のベースとなる情報の鮮度が高いことが必須条件です。日々の業務遂行に役立つ意思決定を行うには、継続的にデータを取得してデータウェアハウスに投入することが必要です。
戦略的意思決定支援では、月1回あるいは週1回の頻度で投入されたデータを利用することができますが、戦術的意思決定支援ではこのような古いデータは受け入れられません。さらに、現場の業務環境における意思決定の実態に対応するには、クエリーのレスポンスタイムも短い秒単位でなければなりません。
アクティブ・データウェアハウスが現場での意思決定支援で果たす役割が大きくなればなるほど、企業にとって意思決定プロセスを自動化したいという要求が強まります。Webサイトや ATM でのインタラクティブな CRM は、顧客ごとに個別化した商品提供、価格設定、コンテンツ配信などを通じて顧客との関係を最適にするために意思決定を行う代表的な例です。
このような極めて複雑な意思決定は、人手を介さずに完全に自動的に行われ、しかも秒単位、あるいはミリ秒単位のレスポンス・タイムで実行しなければなりません。
技術の進化に伴い、イベントをトリガーとして起動する意思決定がどんどん増え、完全に自動化された意思決定プロセスが始まります。例えば、小売業界では電子棚ラベル技術が飛躍的に進歩しています。この技術は、人手でラベルの小さなプラスチックの数字を取り替えるという、今までの商品の価格変更方法を陳腐化させます。新しい電子ラベルでは、陳列商品の価格変更を人手を介さずにコンピュータで遠隔実行することができます。電子棚ラベルの技術とアクティブ・データウェアハウスとを統合すると、企業のビジネス戦略に合わせたレベルで自動化による高度な価格管理が容易に実現されます。
適正在庫量を超える季節商品に対して値下げを行うといった高度な戦略を自動的に立ち上げ、最小のマージン損失で最大の販売量を目指すことができます。
このような値下げ戦略は、手作業で値札を変更する場合にはコストがかかりすぎて採用できませんが、電子棚ラベルを使用してプロモーション的なメッセージを出したり、臨機応変な価格設定により、まったく新しい可能性を持った価格戦略が行えます。さらに、これらの意思決定は、イベントでトリガーされる高度な意思決定支援機能で、商品ごと、店舗ごと、1秒ごとに最善の方法で行われます。CRM では、それぞれの顧客に応じた意思決定をすることも可能です。
このような意思決定支援分野の進歩の背景には、熾烈な競争と技術革新があります。アクティブ・データウェアハウスは、情報の提供により、戦略的意思決定プロセスだけでなく全社的な意思決定支援を可能とします。戦術的意思決定支援は戦略的意思決定支援にとって代わるものではありません。むしろ、この 2つの意志決定支援の共存をサポートします。注目すべきことは、第5段階でも相当量のワークロードは、依然として戦略的思考を中心としています。
第4段階の運用化と第5段階のイベントベースの意思決定支援が可能なのは、 第1 〜 第3段階で特徴的に見られる従来型のデータウェアハウス分析に基づいて立案された戦略実行能力による部分も大きいのです。
アクティブ・データウェアハウスを成功させるには段階を踏む必要があります。最初の導入段階でいきなり第5段階を目指すのは賛成できません。 リスク管理が行き届いたシステムは、従来型のデータウェアハウスの統合された一元的データソースの上に構築されます。データウェアハウスを戦略的意思決定支援に利用すると、ビジネス戦略を実行するための戦術的意思決定支援の要求が出てきます。 アクティブ・データウェアハウスは、全社的展開によってそのビジネス価値がさらに拡大します。社内の何千(あるいは何万)という意思決定者に(さらには、CRM アプリケーションを通じて間接的に顧客に)情報を提供することは、企業にとって強力な支えになります。また、それによりデータウェアハウス・ソリューション構築への新たなアプローチが必要になってきます。 スケーラブルなソリューション環境の中で、パフォーマンス、可用性、データ鮮度の面で究極のサービスレベルをサポートできるデータウェアハウスは、最初の第1段階から計画的に設計しなければ、あとからの思いつきでは達成することはできません。
Stephen Brobst :
Teradata の Chief Technology Officer(CTO)。
データウェアハウスと CRM ソリューションの超大規模データベース構築を専門とする。
Joe Rarey氏 :
Strategic Technologies & Systems におけるコンサルタントの第一人者。
全世界のフォーチュン 500企業でのデータウェアハウス・ソリューション向けハイエンド・システムのインテグレーションを専門とする。
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