世界有数の製薬会社として、ワクチンや処方薬、消費者向け健康製品に関わる創薬・開発・製造・販売を行なう英国グラクソ・スミスクライン。同社では、各部門でのデータ活用ニーズが拡大するのにあわせて、基盤となるデータベースやデータ分析用アプリケーションを拡張するとともに、必要なハードウェアを随時追加してきたため、戦略的な取り組みにまで手が回らない状況になっていました。

グラクソ・スミスクライン(GSK)では、数十のデータマートが乱立し、それらデータマートにデータをローディングするための ETL(Extract / Transform / Load)プロセスも複雑化。このため IT部門は、データローディングのプロセスに関わるオペレーションに忙殺され、新たなデータの活用やビジネス・インテリジェンス(BI)、アナリティクス環境の拡張といった、戦略的な取り組みにまで手が回らない状況になっていました。
そこで GSK では、2006年頃にこれらの問題を解消するためのシステム再構築に向けた検討を実施。Teradata の導入をベースにしたデータウェアハウス(DWH)の再構築を 2007年に決定しました。膨大なデータ量を処理するための混合ワークロードや多様なアプリケーション、数多くのユーザーから同時リクエストなどをサポートできる高度なパフォーマンスをはじめ、ビジネスニーズに応じたリソース拡張にも対応できるスケーラビリティ、各種 BI・分析ツールの利用に関わる柔軟性などを高く評価しました。
具体的なシステム構成としては、Teradataプラットフォーム・ファミリーの最上位機種で超並列処理(MPP)を実現する 「Teradata Active Enterprise Data Warehouse 5500」11ノードを本番用に、「Teradata Data Warehouse Appliance 2650」12ノードを検証・テスト用にそれぞれ導入しています。本番機では、社内の OLTP で処理されるデータに加え、社外の医薬品情報機関や小売店などからの情報といった広範なデータを Teradata で構築された DWH上に集約しました。各部門のデータ活用に用いるデータマートについては仮想化技術を導入しました。ツールについては、ETL に Infomatica、BI に Qlikview、アナリティックスには SAS が採用されています。
旧システムからの移行作業は、移行に伴うリスクを軽減するために 2つのフェーズに分けて実施しました。まず、第一フェーズでは、基本的には既存システムである Oracle のビューやテーブルなどの構造、ネーミングコンベンションなどをそのまま流用して Teradata にマイグレーションし、アプリケーションの変更を最小限にとどめる形でシステムを構築。続く第二フェーズでは、第一フェーズの取り組みで得た Teradata に関するノウハウに基づき、データベースを最適化し、柔軟性の向上や複雑性の解消を念頭に改修を行いました。
Teradata をベースとした DWH環境への移行により、GSK では IT部門、ビジネス部門の双方において大きな成果を得ています。まず IT部門では、従来の複雑な ETLプロセスを整理・統合できたことで、日々の運用作業が大幅に削減されました。これにより新規データの統合やアプリケーションの強化に向けた検討など、IT部門がより戦略的な作業に従事するための余力が生まれています。
一方、ビジネス部門におけるメリットとしては、各部門への必要なデータの提供が迅速化され、ビジネスの現状に即した効果的な分析が可能になりました。また、Teradata の MPP によって、クエリーのスピードも劇的に向上しています。
さらに、それまで多数のデータマートに分散していた情報が Teradata上に一元化されたことが、データ品質の向上にもつながっています。法制改定などビジネス環境の変化に応じた対応なども、一元管理されているデータを修正するだけなので迅速に実施できるようになり、ビジネス部門にとっての大きなメリットとなっています。
今後 GSK では、今回構築した DWH上に、さらに対応するチャネルの拡大や周辺のソースシステムからの情報取り込みを行い、営業、マーケティング、支払、報酬など多数の部門に対して、さまざまな機能を提供することができる全社統合情報基盤=エンタープライズ・データウェアハウス(EDW)を戦略的資産として活用し、より多くの従業員がデータの活用に基づく意思決定を行っていける環境を整備していく考えです。
(本事例は、国内最大級のデータウェアハウス・コンファレンス「Teradata Universe Tokyo 2012」のセッションで発表された内容です。)
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