
「現銀掛け値なし」これは同社が 1683年に掲げたスローガンです。現在では当たり前になっている正札販売を世界で初めて実現し、当時富裕層だけのものだった呉服をひろく一般市民のものにしました。創業以来 320年以上にわたり、「まごころと創意工夫」の経営理念で、人々が豊かな生活を送るため商品やサービスを顧客へ提供しています。また、経営理念でもある「伝統を越える革新性」のもと、96年にはインターネット上に三越のホームページを、さらに99年にはオンライン・ショッピングサイト「ONLY-YOU」を開設し、情報化時代を先取りすべく、eビジネスにも積極的に対応しています。
同社は厳しい市場環境の中で、本当の意味での「お客様第一主義」を実現することで店舗営業力を強化することを目標としていました。そして経営理念でもある「伝統を越える革新性」のもと、その実現に自社カードとそのデータを活用するデータベース・マーケティングの導入を決定しました。まず顧客の立場から、利便性を主軸に据えた三越カードを 96年に導入、次に三越カードから得られた POS データ活用のための IT インフラを 97年に導入しました。
同社では、顧客データベースが、顧客にご満足していただける品揃えとサービスを実現し、リピーターになっていただくための重要なツールとして位置づけられています。また、三越カードへのお客様へのお薦めは現在全社的に徹底されており、売場で販売員がお客様に対して、まず「三越カードはお持ちでしょうか?」とお声をかけていることにも表れています。
三越カードの利用により、顧客は全国の三越、提携店、海外店だけでなく、世界の一流ブランド店でも 5% の割引が受けられます。広範囲な顧客データを取得するため、割引はクレジットのほか、現金での支払いにも適用されています。

同社のマーケティング・データベースに求められる要件は、まず拡張性と多数のユー ザーのサポートでした。顧客は 500万件、取引明細は年間 1億件を 5年間保有でき、かつ瞬時に顧客データを分析・抽出できることが条件であり、全国規模で多数のユー ザーが利用することを想定していました。
また、当初より、短い期間で段階的なレベルアップを想定していた同社は、拡張の際に無駄な再投資を必要としない拡張性のある製品を求めていました。
同社がそれら要件を満たすマーケティング・データベースとして選択したのが、Teradata のデータウェアハウス・ソリューションであり、Teradata RDBMS でした。
97年には、2ノードの Teradataサーバー上で、500GBのデータウェアハウスを構築し、翌年の 98年には 4ノード、1.2テラバイトにまで拡張しました。
同社は顧客情報活用の検討の中から、顧客の売場での購買実態を、R(最新購入日)/F(購入回数)/M(購入金額)の 3つの尺度でマトリクス分析し一表上にプロットした、「RFMmap」と呼ばれる顧客分布の表を Teradata と共同で 99年度に開発しました。また、サンクス・レターや DM を必要な数だけ小ロットでオンデマンド印刷できるシステムも別途開発し、2000年度からはそれら2つのシステムを、取引先ではなく三越社員による「自主運営」の「平場」を中心に活用しています。
これらシステムの活用は、売場の販売員と顧客データベースの担当が一体となり、月単位、半期単位での販売計画表とともに「RFMmap」の情報を共有化し、全社的に推進されています。例えば 99年5月にオープンした新しい売場では、同年度より先駆的に「RFMmap」をはじめとした顧客データベース活用をしながら、予定を上回る業績を上げています。
今、同社は顧客情報を「RFMmap」でわかりやすくビジュアル化し、情報の共有化を行うことで、One-to-One マーケティングを強力に推進し、それらが 21世紀の百貨店営業の基礎となるよう取り組んでいます。

同社は、小売業のデータウェアハウス構築に豊富な実績を持つ Teradata を採用しました。また、Teradata のもつ分析のパフォーマンスと比類ない拡張性も、その選択の理由でした。
「Teradata は、データウェアハウス構築において他のベンダーよりも信頼できる実績を持っていました。また、長年の取引の中で培われた知識があり、われわれのビジネスと目指すマーケティングをよく理解していました。また、構築するデータベースは、年間 1億件の明細を 5年間保有し、全国規模で多数のユーザーが利用する仕組みでなければなりませんでした。また、当初より、数年で 1、2回のレベルアップを想定していたので、無駄な再投資を必要としない拡張性のある製品を求めていたのです」と同社の担当者は語っています。